「実務経験」と「指導監督的実務経験」の違い
社員行政書士・東京事務所所長
大野裕次郎
建設業に参入する上場企業の建設業許可取得や大企業のグループ内の建設業許可維持のための顧問などの支援をしている。建設業者のコンプライアンス指導・支援業務を得意としており、建設業者の社内研修や建設業法令遵守のコンサルティングも行っている。
建設業許可取得及び建設業法遵守において重要な要素である「実務経験」と「指導監督的実務経験」。これらは、営業所技術者等や主任技術者、監理技術者の資格要件に深く関係しています。
しかし、具体的にどのような経験が該当するのか、また違いは何かについて正確に理解することが求められます。本記事では、最新の国土交通省のガイドラインに基づき「実務経験」と「指導監督的実務経験」の違いを解説します。
実務経験とは?
国土交通省が発行する「建設業許可事務ガイドライン」では、「実務経験」を次のように定義しています。
「実務の経験」とは、建設工事の施工に関する技術上のすべての職務経験をいい、ただ単に建設工事の雑務のみの経験年数は含まれない。
具体的には以下のような職務経験が該当します。
- 建設工事の発注に際して設計技術者として設計に従事した経験
- 現場監督技術者として監督に従事した経験
- 土工及びその見習いに従事した経験
ただし、建設工事の雑務は「実務経験」として認められません。また、工事の請負者でなくとも、注文者として設計技術者の立場で従事した経験も認められる点が特徴です。
指導監督的な実務の経験とは?
「指導監督的実務経験」について、国土交通省が定める「建設業許可事務ガイドライン」では、次のように明確に定義されています。
「指導監督的な実務の経験」とは、建設工事の設計又は施工の全般について、工事現場主任者又は工事現場監督者のような立場で工事の技術面を総合的に指導監督した経験をいう。
この経験が認められるためには以下の条件を満たす必要があります。
- 発注者から直接請け負った建設工事であること。
- 請負代金が4,500万円以上(※昭和59年9月30日までの工事では1,500万円以上、昭和59年10月1日~平成6年12月27日までの工事では3,000万円以上)であること。
- 合計して2年以上の指導監督的実務経験を持つこと。
つまり、必ずしも同一工事で2年以上の経験を積む必要はなく、複数の工事を合算して2年以上である場合も条件を満たします。この条件により、技術面での総合的な指導監督を行う立場の経験が問われます。
具体的には以下のような立場で経験を積む必要があります。
- 工事現場主任者
- 工事現場監督者
- 主任技術者
- 現場代理人
- 設計監理者
- 施工監督者 等
これらの職務は、技術面での総合的な指導監督を行う立場であることが求められます。
実務経験と指導監督的実務経験の違い
両者を比較すると、次の点で違いが明確になります。
| 項目 | 実務経験 | 指導監督的実務経験 |
|---|---|---|
| 対象業種 | 全29業種 | 指定建設業を除く22業種 |
| 必要年数 | 1年、3年、5年、10年 | 合計で2年以上 |
| 元請・下請の区別 | 問わない | 元請工事に限る |
| 請負代金の額 | 問わない | 4,500万円以上(※) |
| 職務内容 | 工事経験 | 指導監督的立場での経験 |
※請負代金の額は時期によって異なります。
建設業許可申請時の注意点
許可申請や技術検定の申請を行う際には、これらの定義を正しく理解し、申請内容が実務経験として認められるかどうかを確認することが重要です。不明点がある場合は、国土交通省のガイドラインや担当窓口に相談することをおすすめします。
まとめ
- 実務経験: 建設工事の施工に関する技術上の職務経験。設計技術者や現場監督技術者としての経験が該当。
- 指導監督的実務経験: 元請工事で請負代金4,500万円以上の工事において、合計2年以上の指導監督経験が必要。
- 両者の違い: 対象業種、必要年数、元請・下請の区別、請負代金額、職務内容に違いがある。
- 申請時の注意点: ガイドラインに基づく条件確認と工事内容・期間の正確な記録が重要。
- 建設業法の研修を実施してほしい
- 立入検査対応に不安がある
- 建設業法に関する質問・相談がしたい
- 建設業法改正に対応できているか不安
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