発注者とは?発注者と注文者の違いについて建設業法を基に解説
谷澤 萌花
行政書士法人名南経営(愛知県名古屋市)の所属行政書士。建設業許可をはじめとする各種許認可手続きを担当。建設業許可や経営事項審査の手続き担当先は100社超。許認可手続きだけでなく、外部セミナーや建設業者での研修講師など、建設業者のコンプライアンス指導・支援業務にも携わっている。
「発注者」「注文者」「元請」「下請」等、建設業には様々な専門用語があります。
普段何気なく使用している言葉がほとんどですが、実は微妙な使い方の違いがあることをご存知でしょうか。
そこで今回は、「発注者」「注文者」の言葉の違いについて解説します。
建設業法上の発注者
「発注者」という言葉は世間一般的に広く使われており、「仕事や業務を依頼する者」を指す言葉です。建設業法において、発注者は以下のように定められています。
建設業法第二条(定義)
5 この法律において「発注者」とは、建設工事(他の者から請け負つたものを除く。)の注文者をいい(以下省略)
つまり発注者とは、建設工事の注文者であると定義されています。
注文者
注文者という用語は、仕事の完成を目的として締結する請負契約において、仕事を依頼する者として民法上使用されています。
つまり建設業法上の発注者とは、建設工事の完成を目的として締結する請負契約において、建設工事の依頼をする者であると言えます。
しかし建設業法第二条第5項のカッコ書きに「他の者から請け負つたものを除く」とあるように、必ずしも発注者と注文者がイコールになるわけではありません。
「他の者から請け負つたもの」とは
「他の者から請け負つたもの」とは、建設工事を請け負った者のことを指します。
したがって、建設工事を請け負った建設業者が工事の一部を下請業者に発注していたとしても、下請工事を発注した建設業者は建設業法上の発注者には該当しません。
つまり、建設業法上の発注者とは建設工事の最初の依頼者(いわゆる「施主」)をいいます。
発注者と注文者の違い
発注者と注文者は非常に似た意味で用いられていますが、明確な意味の違いがあります。
発注者→建設工事の最初の請負契約の依頼者(施主)
注文者→建設工事の各請負契約におけるすべての依頼者
上記の通り、注文者は「各請負契約におけるすべての依頼者」のことを指すため、
一次下請、二次下請というような重層構造が生じた請負契約において、各元請負人が注文者に該当します。
例えば、まずAがBへ工事を依頼し、さらにBがCへ工事の一部を依頼するといったケースにおいて、最初に工事を依頼したAが注文者であるのはもちろん、BとCの関係においてはBも注文者という立場になります。
つまり、建設工事の依頼を行った者はすべて注文者に該当し、注文者のうち最初の請負契約の依頼者(施主)のみが建設業法上の発注者に該当する、ということになります。
まとめ
建設業法の条文では、発注者と注文者という言葉が厳密に使い分けられています。
建設業法を正しく解釈し、他社とのやりとりの食い違いをなくすために、建設業で用いられる言葉の違いをきちんと理解しておくようにしましょう。
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