建設業法令遵守ブログ

【建設業法】用語解説

特定建設業許可とは?必要なケースや取得要件、一般建設業許可との違いを解説

片岡詩織

行政書士

片岡詩織

行政書士法人名南経営(愛知県名古屋市)の所属行政書士。建設業許可をはじめとする各種許認可手続きを担当し、担当件数は年間200件を超える。建設業者向けの研修や建設業者のM&Aに伴う建設業法・建設業許可のデューデリジェンスなど、建設業者のコンプライアンス指導・支援業務にも携わっている。

建設業界において建設業許可制度は重要な役割を果たしており、特に「特定建設業許可」は、大規模工事や下請業者を利用する場合に必要となる許可です。本記事では、特定建設業許可の概要や取得要件、一般建設業許可との違いについて詳しく解説します。さらに、特定建設業許可を取得せずに工事を請け負うことによるリスクや法的な問題についてもご紹介します。

特定建設業許可とは?

特定建設業許可は、建設業法に基づく許可制度の一つで、元請として大規模な建設工事を請け負う際に必要となる許可です。具体的には、発注者から直接工事を請け負った(元請として請け負った)1件の建設工事につき、下請に出す代金の総額が(税込)5,000万円(建築一式工事の場合は8,000万円)以上となる工事を請け負う場合に必要な許可です。

一般建設業許可との違い

一般建設業許可と特定建設業許可の違いは、発注者から直接工事を請け負った(元請)場合における、下請に出す代金の総額上限と許可を受ける際の要件です。

特定建設業許可が必要な場合
発注者から直接請け負った1件の建設工事につき下請に出す代金の総額が税込5,000万円(建築一式工事の場合は8,000万円)以上となる場合
一般建設業許可が必要な場合
発注者から直接請け負った1件の建設工事につき下請に出す代金の総額が税込5,000万円(建築一式工事の場合は8,000万円)未満となる場合、又は下請の立場でのみ営業しようとする場合

【特定建設業許可・一般建設業許可の違い】


ここで注意をいただきたいのは、特定建設業許可を有する建設業者(以下、特定建設業者)は一般建設業許可を有する建設業者(以下、一般建設業者)であっても、請負代金の金額に制限はない、という点です。一般建設業者であっても、発注者から直接工事を請け負った場合(元請となった場合)に、下請に出す代金に制限がかかっているのみで、請負金額の制限はありません。

特定建設業者は一般建設業者と比較し、元請の立場で大規模な建設工事を請け負うことになるため、一般建設業許可よりも厳しい財務基盤の安定性が求められるほか、営業所技術者となることのできる資格についても厳しい要件が科せられています。

特定建設業許可の取得要件

特定建設業許可を取得するためには、以下の6つ要件を満たす必要があります。

1.適正な経営体制を有し、適切な社会保険に加入していること
2.特定営業所技術者がいること
3.不正または不誠実な行為をするおそれがないこと
4.財産的基礎又は金銭的信用を有していること
5.欠格要件に該当しないこと
6.営業所の実態があること

一般建設業許可との違いが生じるのは、6つの要件のうち「2.特定営業所技術者がいること」と「4.財産的基礎又は金銭的信用を有していること」です。

2.特定営業所技術者がいること
特定営業所技術者になるには、1級の国家資格または技術士の資格が必要です。
例えば、建築一式工事の一般建設業許可を取得する場合、①1級又は2級建築施工管理技士等の資格 ②10年以上の実務経験 ③所定学科+3年/5年の実務経験で営業所技術者になることが出来ます。
一方、特定建設業許可を取得する場合は、①1級建築施工管理技士や一級建築士等の国家資格が必要になり、2級の資格や実務経験で特定営業所技術者となることはできません。

4.財産的基礎又は金銭的信用を有していること
特定建設業許可を取得するための財産的基礎の要件は以下の3つで、すべてを満たさなければなりません。これらの要件は、基本的に許可申請を行う直前の決算の内容で判断されます。

①欠損の金額が資本金の20%を超えていないこと
②流動比率が75%以上であること
③資本金が2,000万円以上かつ自己資本の額が4,000万円以上であること

一方、一般建設業許可の場合は、以下の3つのうちいずれかの要件を満たしていれば、許可を取得することが出来ます。
①自己資本が500万円以上であること
②500万円以上の資金調達能力を有すること
③許可申請直前の5年間、許可を受けて継続して営業していること

このように、財産的基礎においても特定建設業許可が一般建設業許可よりもより厳しい要件を満たすことが求められています。

特定建設業許可を取得せず工事を請け負った場合

特定建設業許可を取得せずに許可が必要な工事を請け負った場合、建設業法に基づき3年以下の拘禁刑若しくは300万円以下の罰金(法人に対しては1億円以下の罰金)の罰則や、7日以上の営業停止処分が科される可能性があります。

まとめ

・特定建設業許可は、元請となった場合に下請に出す代金の総額が一定以上になる場合に必要な許可
・一般建設業許可との違いは、元請業者となった場合に下請に出す代金の総額の上限と許可要件
・特定建設業許可を取得せずに工事を請け負うことは、法的なリスクや罰則を伴う可能性がある

本記事で解説した内容を参考に、建設業許可制度について正確な理解を深めていただければ幸いです。特定建設業許可の取得に関して不明な点がある場合は、行政書士法人名南経営へご相談ください。

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