建設業法第16条「下請契約の締結の制限」解説
行政書士
寺嶋紫乃
行政書士法人名南経営(愛知県名古屋市)の所属行政書士。建設業者向けの研修や行政の立入検査への対応、建設業者のM&Aに伴う建設業法・建設業許可デューデリジェンスなど、建設業者のコンプライアンス指導・支援業務を得意としている。
建設業法第16条の概要とその目的
建設業法第16条は、建設業における下請契約に関する制限を規定した条文です。この条文は、特定建設業許可を受けていない業者が一定の条件下で下請契約を締結することを防止することで、業界の適正な運営を確保することを目的としています。
以下では、条文の内容や具体的な制限、違反した場合の罰則について詳しく解説します。
条文の内容と具体的な制限
建設業法第16条では、以下のように定められています。
(下請契約の締結の制限)
第十六条 特定建設業の許可を受けた者でなければ、その者が発注者から直接請け負った建設工事を施工するための次の各号の一に該当する下請契約を締結してはならない。 一 その下請契約に係る下請代金の額が、一件で、第三条第一項第二号の政令で定める金額以上である下請契約 二 その下請契約を締結することにより、その下請契約及びすでに締結された当該建設工事を施工するための他のすべての下請契約に係る下請代金の額の総額が、第三条第一項第二号の政令で定める金額以上となる下請契約
これに基づき、特定建設業許可が必要となるケースを以下にまとめました。
制限が適用される条件
- 発注者から直接請け負った建設工事であること
制限は元請業者にのみ適用され、下請業者には適用されません。 - 下請契約が一定の金額以上であること
- 建築一式工事の場合:税込8,000万円以上
- その他の工事の場合:税込5,000万円以上
これらの条件をすべて満たした場合、特定建設業許可が必要となります。
また、下請契約が複数に分かれている場合でも、すべての契約金額を合算して判断される点に注意が必要です。
違反した場合の罰則
建設業法第16条に違反した場合、以下のような罰則が科される可能性があります。
- 一般建設業許可のみの業者が制限に違反した場合:
「3年以下の懲役または300万円以下の罰金」
(法第50条第1項) - 違反により下請契約を締結した下請業者に対する処分:
「7日以上の営業停止」
(法第28条第3項)
違反行為は建設業者としての信用を損なうだけでなく、企業活動に大きな影響を与える可能性があります。そのため、法令を正しく理解し、遵守することが求められます。
特定建設業許可と一般建設業許可の違い
ここで、特定建設業許可と一般建設業許可の違いについて整理します。
- 特定建設業許可
下請契約の金額が特定基準(建築一式で8,000万円、その他で5,000万円)以上となる場合に必要な許可。 - 一般建設業許可
元請業者として上記の特定基準未満の下請契約を締結する場合、もしは下請業者として請負契約を締結する場合に必要な許可。
特定建設業許可を取得するには、財務基盤や技術者の要件など、一般建設業許可よりも厳しい基準を満たす必要があります。
まとめ
建設業法第16条は、建設業界の適正運営を保つために重要な規定です。特に、元請業者として下請契約を締結する際には、法令で定められた制限を正確に把握し、適切に対応することが求められます。
法令遵守のためには、専門家のサポートを活用することも効果的です。行政書士法人名南経営では、建設業許可手続きだけでなく、法令遵守に関する研修やコンサルティングも提供しています。お気軽にお問い合わせください。
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