なぜその会社は営業停止となったのか?無許可業者への下請発注による処分事例の解説
行政書士
寺嶋紫乃
行政書士法人名南経営(愛知県名古屋市)の所属行政書士。建設業者向けの研修や行政の立入検査への対応、建設業者のM&Aに伴う建設業法・建設業許可デューデリジェンスなど、建設業者のコンプライアンス指導・支援業務を得意としている。
<A社の事例>

建設業法第3条第1項では、原則として建設業を営む者は許可を受けなければならないと定めています。しかし、例外的に「軽微な建設工事」のみを請負う場合は許可が不要とされています。基本的なルールなので、よく見聞きしているかもしれませんが、改めて条文を確認しておきます。
建設業法(建設業の許可)
第三条 建設業を営もうとする者は、次に掲げる区分により、この章で定めるところにより、二以上の都道府県の区域内に営業所(本店又は支店若しくは政令で定めるこれに準ずるものをいう。以下同じ。)を設けて営業をしようとする場合にあつては国土交通大臣の、一の都道府県の区域内にのみ営業所を設けて営業をしようとする場合にあつては当該営業所の所在地を管轄する都道府県知事の許可を受けなければならない。ただし、政令で定める軽微な建設工事のみを請け負うことを営業とする者は、この限りでない。
(以下、省略)
建設業法施行令(法第三条第一項ただし書の軽微な建設工事)
第一条の二 法第三条第一項ただし書の政令で定める軽微な建設工事は、工事一件の請負代金の額が五百万円(当該建設工事が建築一式工事である場合にあつては、千五百万円)に満たない工事又は建築一式工事のうち延べ面積が百五十平方メートルに満たない木造住宅を建設する工事とする。
(以下、省略)
ここでまず注意が必要な点は2つです。
1つ目は、請負代金の額は「税込」で判断をすることです。この条文に限らず、建設業法に出てくる金額の規定はすべて税込みとなることを覚えておいてください。
2つ目は、「満たない」金額であることです。満たないということは、言い換えれば「未満」なので、建築一式工事以外の工事の場合は税込500万円ぴったりの工事は500万円に満たない工事ではないため建設業許可が必要になるということです。
この2点を正しく理解していないと、無許可営業をしかねません。
本件の事例に戻りますと、A社は許可を持っており無許可営業はしていませんが、「無許可業者への下請発注」をしたことで処分を受けました。建設業法では、無許可業者に対する罰則だけでなく、許可を持って営んでいても無許可業者へ下請発注をすると建設業法第28条に基づき監督処分が科されます。
建設業法(指示及び営業の停止)
第二十八条 国土交通大臣又は都道府県知事は、その許可を受けた建設業者が次の各号のいずれかに該当する場合又はこの法律の規定(第十九条の三第一項、第十九条の四、第二十四条の三第一項、第二十四条の四、第二十四条の五並びに第二十四条の六第三項及び第四項を除き、公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律(平成十二年法律第百二十七号。以下「入札契約適正化法」という。)第十五条第一項の規定により読み替えて適用される第二十四条の八第一項、第二項及び第四項を含む。第四項において同じ。)、入札契約適正化法第十五条第二項若しくは第三項の規定若しくは特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律(平成十九年法律第六十六号。以下この条において「履行確保法」という。)第三条第六項、第四条第一項、第七条第二項、第八条第一項若しくは第二項若しくは第十条第一項の規定に違反した場合においては、当該建設業者に対して、必要な指示をすることができる。特定建設業者が第四十一条第二項又は第三項の規定による勧告に従わない場合において必要があると認めるときも、同様とする。
(中略)
六 建設業者が、第三条第一項の規定に違反して同項の許可を受けないで建設業を営む者と下請契約を締結したとき。
(中略)
3 国土交通大臣又は都道府県知事は、その許可を受けた建設業者が第一項各号のいずれかに該当するとき若しくは同項若しくは次項の規定による指示に従わないとき又は建設業を営む者が前項各号のいずれかに該当するとき若しくは同項の規定による指示に従わないときは、その者に対し、一年以内の期間を定めて、その営業の全部又は一部の停止を命ずることができる。
(以下、省略)
今回の事例では、10日間の営業停止処分でしたが、無許可業者への発注は最長で1年の営業停止処分に該当する違反行為になります。
無許可業者への発注をしないためにも、下請発注する際には下請けに出す工事の業種を判断し、発注予定先の下請業者が該当する業種の許可を持っているかを確認する必要があるということです。下請業者が建設業法を十分理解していれば、下請業者の方から「許可を持っていないので請負えない」と言ってもらえることがあるかもしれませんが、相手任せにするのではなく自社で下請発注できる先か否かを判断できるようにしましょう。
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