建設業法令遵守ブログ

【建設業法】用語解説

建設業法とは?適用範囲や概要をわかりやすく解説!

大野裕次郎

社員行政書士・東京事務所所長

大野裕次郎

建設業に参入する上場企業の建設業許可取得や大企業のグループ内の建設業許可維持のための顧問などの支援をしている。建設業者のコンプライアンス指導・支援業務を得意としており、建設業者の社内研修や建設業法令遵守のコンサルティングも行っている。

建設業に携わる企業や個人にとって、「建設業法」は避けて通れない法律です。
しかし、建設業法と聞くと「建物を建てるときに関わる法律?」「なんとなく難しそう」「建設業許可は知っているけど他のルールは知らない」という方も多いのではないでしょうか。本記事では、建設業法の目的と意義から、その適用範囲、そして建設業法の概要について解説します。

1.建設業法とは

建設業法(けんせつぎょうほう)は、日本の法律の一つで、建設業を営む者の資質の向上や請負契約の適正化などを図り、それによって建設工事の適正な施工を確保し、発注者や下請け業者を保護するとともに、建設業の健全な発達を促進し、最終的に公共の福祉の増進に寄与することを目的としています。

この法律は、建設業界全体の秩序を保ち、良質な社会資本の整備を支えるための基本的な枠組みを定めています。

建設業法の意義と目的

住宅の建設だけでなく、道路や上下水道等の社会資本、商業施設や工場などの産業施設、教育施設や福祉・医療施設など、いずれも建設業により創り出されたものであり、建設業の重要性はいうまでもありません。建設業の重要性から、建設工事の施工が公共の福祉に与える影響が大きいことはご理解いただけると思います。

建設業法は、「建設業を営む者の資質の向上、建設工事の請負契約の適正化等を図ることによつて、建設工事の適正な施工を確保し、発注者を保護するとともに、建設業の健全な発達を促進し、もつて公共の福祉の増進に寄与すること目的」としています。建設業は、公共工事や民間工事を問わず社会の基盤を支える重要な産業であり、その品質や安全性の確保が求められます。そのため、不良・不適格業者の排除や、経営の安定性・財産的基礎・技術力・適格性のある業者の選定を行うことで、健全な業界の発展を促進することが建設業法の主な役割となっています。

2.建設業法の適用範囲

建設業法に該当する工事

建設業法において、「建設業」とは、「下請その他いかなる名義をもつてするかを問わず、建設工事の完成を請け負う営業」をいいます。建設業法は、建設工事の完成を請負う事業者、つまり、建設工事の請負契約を締結する事業者、に適用されます。

建設工事とは、土木建築に関する工事で、建設業法の別表第一の上覧に掲げるものをいいます。土木工事、建築工事の2種類の一式工事と、27種類の専門工事に分類されています。事業者が一定の規模以上の工事を請け負う場合には、国土交通大臣または都道府県知事の許可が必要となります。

土木一式工事 建築一式工事 大工工事 左官工事 とび工事
石工事 屋根工事 電気工事 管工事 タイル工事
鋼構造物工事 鉄筋工事 ほ装工事 しゅんせつ工事 板金工事
ガラス工事 塗装工事 防水工事 内装仕上工事 機械器具設置工事
熱絶縁工事 電気通信工事 造園工事 さく井工事 建具工事
水道施設工事 消防施設工事 清掃施設工事 解体工事

建設業法に該当しない工事

「請負」とは、民法に規定されている契約類型で、当事者の一方がある仕事を完成することを約し、相手方がその仕事の結果に対して報酬を与えることを約する契約であり、委任(準委任)や雇用とは異なるものです。そのため、次のような作業は、建設業法でいう建設工事には該当しません。

*「建設工事」に該当しないもの
保守点検、維持管理、除草、草刈、伐採、除雪、融雪剤散布、測量、墨出し、地質調査、造林、採石、調査目的のボーリング、造船、機械器具製造・修理、機械の賃貸、宅地建物取引、建売住宅の販売、浄化槽清掃、ボイラー洗浄、側溝清掃、コンサルタント、設計、リース、資材の販売、機械・資材の運搬、保守・点検・管理業務等の委託業務、物品販売、清掃、人工出し、解体工事で生じた金属等の売却収入、JV の構成員である場合のその JV からの下請工事、自社建物の建設

※出典:茨城県「建設業許可の手引き」

3.建設業法のルール

建設業法は第一章から第八章で構成されていますが、事業者に特に関係のある章を分類すると、大きく次の5つに分かれます。 

①建設業許可制度
②技術者制度
③請負請負契約の適正化
④経営事項審査
⑤監督処分等

それぞれ簡単にどのような内容か解説します。

①建設業許可制度

建設業許可制度は、一定規模以上の建設工事を請け負う事業者に対し、国や都道府県から許可を受けることを義務付けた制度です。建設業の健全な発展と施工の適正化を目的とし、無許可業者による不適切な工事を防ぐ役割があります。

一定規模以上の建設工事とは、1件の工事の請負代金の額が500万円以上(建築一式工事は1,500万円以上または延べ面積150㎡以上の木造住宅)の場合です。許可を取得するには、経営の安定性・財産的基礎・技術力・適格性の要件を満たす必要があります。

建設業許可は、国土交通大臣許可(複数の都道府県に営業所を設けて営業する場合)と都道府県知事許可(1つの都道府県内にのみで営業所を設けて営業する場合)の2種類があり、5年ごとの更新が必要です。

②技術者制度

技術者制度は、建設工事の施工の技術上の管理をつかさどるものとして、各工事現場に一定の資格や経験を持つ技術者を配置することを義務付けた制度です。「主任技術者」と「監理技術者」の2種類があり、それぞれ配置要件が異なります。

<主任技術者>
請け負った建設工事を施工するとき、請負代金の大小、元請・下請の立場にかかわらず、必ず配置しなければならない技術者です。一・二級の国家資格や実務経験等が求められます。

<監理技術者>
発注者から直接請け負った元請である特定建設業者が、1件の建設工事につき下請に出す代金の合計額が 5,000万円(建築一式工事の場合は 8,000 万円)以上(いずれも消費税及び地方消費税を含む)となる場合に、主任技術者に代わり配置しなければならない技術者です。原則として、一級の国家資格が求められます。 

③請負契約の適正化

注文者と受注者の公正な取引を促進するため、請負契約の適正化に関する規定が設けられています。発注者・元請業者間はもちろんのこと、元請業者・一次下請間など、建設業者間での契約関係にも適用されるルールが定められています。書面による請負契約の締結、見積依頼の方法、見積期間、適正な工期の確保、下請代金の適正な支払いなどが義務付けられています。

④経営事項審査

公共工事の入札に参加する建設業者が受けなければならない審査のことです。経審と呼ばれたりします。経審は、建設業者の経営状況や、経営規模・技術力・社会性といった項目を評価するもので、公共工事の入札の際の格付け基準の一つとして活用されます。

⑤監督処分等

建設業法に違反した場合、「罰則(刑罰)」と「監督処分(行政処分)」という制裁があります。監督処分は、主に建設業許可業者に対して行われる措置です。

4.建設業法に違反するとどうなる

前述のとおり、建設業法に違反した場合、「罰則(刑罰)」と「監督処分(行政処分)」という制裁が用意されています。建設業者が気を付けなければならないものは特に「監督処分」です。監督処分の種類には「指示処分」「営業停止処分」「許可取消処分」があり、違反の内容に応じて処分が科される仕組みとなっています。

詳しくはこちらの記事「建設業法に違反した場合の制裁とは?違反事例と共に解説!」をご覧ください。

5.まとめ

  • 建設業法は、建設工事の適正な施工を確保し、発注者を保護するとともに、建設業の健全な発達を促進することが目的となっている。
  • 建設業法は、建設工事の請負契約を締結する事業者、に適用される。
  • 建設業法は次の5つに大別される。
    ①建設業許可制度
    ②技術者制度
    ③請負契約の適正化
    ④経営事項審査
    ⑤監督処分等
  • 建設業法に違反した場合は、「罰則」と「監督処分」という制裁が用意されており、特に建設業者の場合、「監督処分」に注意が必要。
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