建設業法令遵守ブログ

【建設業法】関連コラム

建設業法第27条の23「経営事項審査」解説

大野裕次郎

社員行政書士・東京事務所所長

大野裕次郎

建設業に参入する上場企業の建設業許可取得や大企業のグループ内の建設業許可維持のための顧問などの支援をしている。建設業者のコンプライアンス指導・支援業務を得意としており、建設業者の社内研修や建設業法令遵守のコンサルティングも行っている。

条文の確認

(経営事項審査)
第二十七条の二十三 公共性のある施設又は工作物に関する建設工事で政令で定めるものを発注者から直接請け負おうとする建設業者は、国土交通省令で定めるところにより、その経営に関する客観的事項について審査を受けなければならない。
2 前項の審査(以下「経営事項審査」という。)は、次に掲げる事項について、数値による評価をすることにより行うものとする。
一 経営状況
二 経営規模、技術的能力その他の前号に掲げる事項以外の客観的事項
3 前項に定めるもののほか、経営事項審査の項目及び基準は、中央建設業審議会の意見を聴いて国土交通大臣が定める。

経営事項審査とは

経営事項審査とは、国、地方公共団体などが発注する公共工事を直接請け負おうとする場合に、必ず受けておかなければならない審査のことをいいます。
公共工事の各発注機関は、競争入札に参加しようとする建設業者についての資格審査を行うこととされています。この資格審査では「客観的事項」と「発注者別評価」の審査結果を点数化して、格付けが行われています。このうち「客観的事項」にあたる審査が「経営事項審査」です。


出典:中部地方整備局「経営規模等評価申請・総合評定値請求の手引き(経営事項審査の手引き)」

公共工事とは

公共工事とは、次に掲げる発注者が発注する施設又は工作物に関する建設工事です。

  1. 地方公共団体
  2. 法人税別表第一に掲げる公共法人(地方公共団体を除く)
  3. 上記に準ずるものとして国土交通省令で定める法人
    関西国際空港株式会社、公害健康被害補償予防協会、首都高速道路株式会社、消防団員等公務災害補償等共済基金、地方競馬全国協会、東京地下鉄株式会社、東京湾横断道路建設事業者、独立行政法人科学技術振興機構、独立行政法人勤労者退職金共済機構、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構、独立行政法人中小企業基盤整備機構、独立行政法人日本原子力研究開発機構、独立行政法人農業者年金基金、独立行政法人理化学研究所、中日本高速道路株式会社、成田国際空港株式会社、西日本高速道路株式会社、日本環境安全事業株式会社、日本小型自動車振興会、日本自転車振興会、日本私立学校振興・共済事業団、日本たばこ産業株式会社、日本電信電話株式会社等に関する法律(昭和五十九年法律第八十五号)第一条第一項 に規定する会社及び同条第二項に規定する地域会社、農林漁業団体職員共済組合、阪神高速道路株式会社、東日本高速道路株式会社、本州四国連絡高速道路株式会社並びに、旅客鉄道株式会社及び日本貨物鉄道株式会社に関する法律(昭和六十一年法律第八十八号)第一条第三項に規定する会社とする。

経営事項審査の仕組み

経営事項審査は、次の2つの審査によって構成されています。

①経営状況分析
②経営規模等評価

経営状況分析とは、「経営状況」(Y)を点数化する審査です。国土交通省の登録を受けた民間の経営状況分析機関※が行います。経営規模等評価とは、「経営規模」(X)、「技術力」(Z)、「社会性等」(W)を点数化する審査です。許可行政庁が行います。

許可行政庁である国土交通大臣又は都道府県知事は、経営規模等評価申請をした建設業者から請求があった場合には、経営状況分析の結果に係る数値と経営規模等評価の結果に係る数値を用いて、客観的事項の全体についての評定結果に係る数値を通知することになります。この客観的事項全体に係る数値を「総合評定値」(P)と言います。

「経営状況分析」結果と「経営規模等評価」結果を合計して、「総合評定値」(P)となります。
総合評定値(P)=「経営状況分析」結果(Y)+「経営規模等評価」結果(X・Z・W)

審査項目ごとにウエイトをかけて、次の算式により算出することになります。
総合評定値(P)=0.25(X1)+0.15(X2)+0.20(Y)+0.25(Z)+0.15(W)

 

※経営状況分析機関の一覧

登録
番号
機関の名称 事務所の所在地 電話番号
(一財)建設業情報管理センター 東京都中央区築地2-11-24 03-5565-6131
(株)マネージメント・データ・リサーチ 熊本県熊本市中央区京町2-2-37 096-278-8330
ワイズ公共データシステム(株) 長野県長野市田町2120-1 026-232-1145
(株)九州経営情報分析センター 長崎県長崎市今博多町22 095-811-1477
(株)北海道経営情報センター 北海道札幌市白石区東札幌一条4-8-1 011-820-6111
(株)ネットコア 栃木県宇都宮市鶴田2-5-24 028-649-0111
(株)経営状況分析センター 東京都大田区大森西3-31-8 03-5753-1588
10 経営状況分析センター西日本(株) 山口県宇部市北琴芝1-6-10 0836-38-3781
11 (株)NKB 福岡県北九州市小倉北区重住3-2-12 093-982-3800
22 (株)建設業経営情報分析センター 東京都立川市柴崎町2-17-6 042-505-7533

経営事項審査の手続きについて

登録経営状況分析機関に対して、経営状況分析の申請を行い、結果通知が出てから、経営規模評価申請書及び確認書類を許可行政庁に対して提出することになります。

  • 国土交通大臣許可業者の申請書類の提出先
    本店所在地を管轄する都道府県知事を経由して建設業の許可を受けている地方整備局長等
  • 都道府県知事許可業者の申請書類の提出先
    建設業の許可を受けている都道府県知事
    詳しくは許可行政庁へ直接お問い合わせ下さい。

経営事項審査の申請書類はこちらからダウンロード可能です。

経営事項審査の手続きについてお困りの方は、行政書士法人名南経営までお気軽にご連絡ください。

行政書士法人名南経営は、建設業許可手続きだけでなく、スポットでの相談対応、従業員・協力会社向けの建設業法令研修や、模擬立入検査、コンプライアンス体制構築コンサルティングまで対応しております。MicrosoftTeamsを利用したWEB面談も可能です。お気軽にご相談ください。