建設業法第27条「技術検定」解説
社員行政書士・東京事務所所長
大野裕次郎
建設業に参入する上場企業の建設業許可取得や大企業のグループ内の建設業許可維持のための顧問などの支援をしている。建設業者のコンプライアンス指導・支援業務を得意としており、建設業者の社内研修や建設業法令遵守のコンサルティングも行っている。
記事更新日:2020年10月1日
本記事は、2020年10月1日に施行された改正建設業法に関する規定の解説です。
条文の確認
(技術検定)
第二十七条 国土交通大臣は、施工技術の向上を図るため、建設業者の施工する建設工事に従事し又はしようとする者について、政令の定めるところにより、技術検定を行うことができる。
2 前項の検定は、これを分けて第一次検定及び第二次検定とする。
3 第一次検定は、第一項に規定する者が施工技術の基礎となる知識及び能力を有するかどうかを判定するために行う。
4 第二次検定は、第一項に規定する者が施工技術のうち第二十六条の四第一項に規定する技術上の管理及び指導監督に係る知識及び能力を有するかどうかを判定するために行う。
5 国土交通大臣は、第一次検定又は第二次検定に合格した者に、それぞれ合格証明書を交付する。
6 合格証明書の交付を受けた者は、合格証明書を滅失し、又は損傷したときは、合格証明書の再交付を申請することができる。
7 第一次検定又は第二次検定に合格した者は、それぞれ政令で定める称号を称することができる。
「技士補」制度の創設
2020年10月1日の改正建設業法施行前の旧制度では、学科試験、実地試験の両方に合格した者に「技士」の称号が与えられていました。新制度では、技術検定を第一次検定と第二次検定と分け、第一次検定合格者に「技士補」の称号、第二次検定合格者に「技士」の称号が与えられることとなりました。技術検定の新制度は、令和3年4月1日からスタートします。
出典:国土交通省「新・担い手三法について~建設業法、入契法、品確法の一体的改正について~」
1級「技士補」のメリット
1級の「技士補」の称号が与えられると、次のメリットがあります。
- 監理技術者が2現場を兼務する(特例監理技術者の設置)際に、各現場に設置しなければならない「監理技術者補佐」になることができる
- 経営事項審査において、主任技術者相当の者より上位であり、監理技術者相当の者より下位である、技術職員数(Z1)評点4点として評価される ※令和3年4月1日スタート
その他の改正
- 受検資格の見直しについて
旧制度では、1級の技術検定受験には所定の実務経験が必要でしたが、新制度では、2級の第2次検定合格者については、1級の第1次検定を受験するにあたり、1級相当の実務経験が不要となります。 - 名称の変更について
1級建設機械施工技士、2級建設機械施工技士の名称が改められ、1級建設機械施工管理技士、2級建設機械施工管理技士となります。