建設業法第26条の3 解説:主任技術者の配置の見直し
行政書士
寺嶋紫乃
行政書士法人名南経営(愛知県名古屋市)の所属行政書士。建設業者向けの研修や行政の立入検査への対応、建設業者のM&Aに伴う建設業法・建設業許可デューデリジェンスなど、建設業者のコンプライアンス指導・支援業務を得意としている。
記事更新日:2020年10月1日
本記事は、2020年10月1日に施行された改正建設業法に関する規定の解説です。
条文の確認
第二十六条の三 特定専門工事の元請負人及び下請負人(建設業者である下請負人に限る。以下この条において同じ。)は、その合意により、当該元請負人が当該特定専門工事につき第二十六条第一項の規定により置かなければならない主任技術者が、その行うべき次条第一項に規定する職務と併せて、当該下請負人がその下請負に係る建設工事につき第二十六条第一項の規定により置かなければならないこととされる主任技術者の行うべき次条第一項に規定する職務を行うこととすることができる。この場合において、当該下請負人は、第二十六条第一項の規定にかかわらず、その下請負に係る建設工事につき主任技術者を置くことを要しない。
2 前項の「特定専門工事」とは、土木一式工事又は建築一式工事以外の建設工事のうち、その施工技術が画一的であり、かつ、その施工の技術上の管理の効率化を図る必要があるものとして政令で定めるものであつて、当該建設工事の元請負人がこれを施工するために締結した下請契約の請負代金の額(当該下請契約が二以上あるときは、それらの請負代金の額の総額。以下この項において同じ。)が政令で定める金額未満となるものをいう。ただし、元請負人が発注者から直接請け負つた建設工事であつて、当該元請負人がこれを施工するために締結した下請契約の請負代金の額が第二十六条第二項に規定する金額以上となるものを除く。
3 第一項の合意は、書面により、当該特定専門工事(前項に規定する特定専門工事をいう。第六項において同じ。)の内容、当該元請負人が置く主任技術者の氏名その他の国土交通省令で定める事項を明らかにしてするものとする。
4 第一項の元請負人は、同項の合意をしようとするときは、あらかじめ、注文者の書面による承諾を得なければならない。
5 注文者は、前項の規定による書面による承諾に代えて、政令で定めるところにより、同項の元請負人の承諾を得て、電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法であつて国土交通省令で定めるものにより、同項の承諾をする旨の通知をすることができる。この場合において、当該注文者は、当該書面による承諾をしたものとみなす。
6 第一項の元請負人が置く主任技術者は、次に掲げる要件のいずれにも該当する者でなければならない。
一 当該特定専門工事と同一の種類の建設工事に関し一年以上指導監督的な実務の経験を有すること。
二 当該特定専門工事の工事現場に専任で置かれること。
7 第一項の元請負人が置く主任技術者については、第二十六条第三項の規定は、適用しない。
8 第一項の下請負人は、その下請負に係る建設工事を他人に請け負わせてはならない。
主任技術者の配置を省略
今回の建設業法改正の背景に工事の規模等は関係なく「すべて」の工事において配置技術者を置かなければならないと規定しています。しかし改正法では、要件を満たした場合には、技術者の配置義務の緩和として、主任技術者に限り配置を省略できる規定が設けられました。
主任技術者の配置を省略するためには
すべての工事において主任技術者の配置省略ができるわけではありません。下記の要件を全て満たす場合に限り、主任技術者の配置省略ができるというものになります。
- 対象工事
鉄筋工事又は型枠工事であること - 下請契約の請負代金の額
政令で定める額未満(3,500万円未満) - 配置される主任技術者の要件
1年以上の指導監督的実務経験があり、かつ当該工事現場に専任で配置 - 禁止事項
(配置を省略した下請業者が)再下請の禁止 - 手続き
(配置省略について)注文者の書面の承諾が必要
要件を満たさず技術者の配置を省略してしまった場合には建設業法違反となりますので、技術者の省略を行う場合には要件確認を怠らないようにしなければなりません。
主任技術者の配置省略に関するご相談は、行政書士法人名南経営までお気軽にご連絡ください。
行政書士法人名南経営は、建設業許可手続きだけでなく、スポットでの相談対応、従業員・協力会社向けの建設業法令研修や、模擬立入検査、コンプライアンス体制構築コンサルティングまで対応しております。MicrosoftTeamsを利用したWEB面談も可能です。お気軽にご相談ください。