建設業法第24条の6「下請負人に対する特定建設業者の指導等」解説
社員行政書士・東京事務所所長
大野裕次郎
建設業に参入する上場企業の建設業許可取得や大企業のグループ内の建設業許可維持のための顧問などの支援をしている。建設業者のコンプライアンス指導・支援業務を得意としており、建設業者の社内研修や建設業法令遵守のコンサルティングも行っている。
(下請負人に対する特定建設業者の指導等)
第二十四条の六 発注者から直接建設工事を請け負つた特定建設業者は、当該建設工事の下請負人が、その下請負に係る建設工事の施工に関し、この法律の規定又は建設工事の施工若しくは建設工事に従事する労働者の使用に関する法令の規定で政令で定めるものに違反しないよう、当該下請負人の指導に努めるものとする。
2 前項の特定建設業者は、その請け負つた建設工事の下請負人である建設業を営む者が同項に規定する規定に違反していると認めたときは、当該建設業を営む者に対し、当該違反している事実を指摘して、その是正を求めるように努めるものとする。
3 第一項の特定建設業者が前項の規定により是正を求めた場合において、当該建設業を営む者が当該違反している事実を是正しないときは、同項の特定建設業者は、当該建設業を営む者が建設業者であるときはその許可をした国土交通大臣若しくは都道府県知事又は営業としてその建設工事の行われる区域を管轄する都道府県知事に、その他の建設業を営む者であるときはその建設工事の現場を管轄する都道府県知事に、速やかに、その旨を通報しなければならない。
特定建設業者が発注者から直接建設工事を請け負い、元請となった場合には、下請業者が建設業法、建築基準法、労働基準法、労働安全衛生法などの諸法令に違反しないよう指導に努めなければならないと定められている規定です。
下請負人の範囲
元請と直接契約を締結した下請負人だけでなく、工事に携わった全ての下請負人が対象となります。特定建設業者は、全ての下請負人に対して指導等を行わなければなりません。
特定建設業者の責務
特定建設業者の責務として、規定されている事項をまとめると次のとおりです。
①現場での法令遵守指導の実施
②下請負人の法令違反については是正指導
③下請負人が是正しないときは許可行政庁へ通報
指導すべき法令
特定建設業者が下請負人に対して指導すべき法令は以下のとおりです。
・建設業法
・建築基準法
・宅地造成等規制法
・労働基準法
・職業安定法
・労働安全衛生法
・労働者派遣法
特定建設業者は、自社の法令遵守だけでなく、現場での下請負人の法令遵守まで気を配らなければなりません。特定建設業者が指導等の責務を果たしていない場合は、指示処分の対象となりますので注意が必要です。
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