建設業法第24条の2、第24条の3「下請負人への意見聴取と代金支払」解説
行政書士
寺嶋紫乃
行政書士法人名南経営(愛知県名古屋市)の所属行政書士。建設業者向けの研修や行政の立入検査への対応、建設業者のM&Aに伴う建設業法・建設業許可デューデリジェンスなど、建設業者のコンプライアンス指導・支援業務を得意としている。
条文の確認
(下請負人の意見の聴取)
第二十四条の二 元請負人は、その請け負つた建設工事を施工するために必要な工程の細目、作業方法その他元請負人において定めるべき事項を定めようとするときは、あらかじめ、下請負人の意見をきかなければならない。
(下請代金の支払)
第二十四条の三 元請負人は、請負代金の出来形部分に対する支払又は工事完成後における支払を受けたときは、当該支払の対象となつた建設工事を施工した下請負人に対して、当該元請負人が支払を受けた金額の出来形に対する割合及び当該下請負人が施工した出来形部分に相応する下請代金を、当該支払を受けた日から一月以内で、かつ、できる限り短い期間内に支払わなければならない。
2 元請負人は、前払金の支払を受けたときは、下請負人に対して、資材の購入、労働者の募集その他建設工事の着手に必要な費用を前払金として支払うよう適切な配慮をしなければならない。
元請負人が単独で決定すべきではない!
建設業法第24条の2では、元請負人が下請負人の意見を聞くことを義務付けています。
なぜなら、元請負人は工程の細目や作業方法などを単独で決めることができますが、下請負人は専門的な工事を行うため(一式工事は原則下請負人が行うことは無いため)、事前にそれらを確認し下請負人の意見をできる限り反映させることができるようにするためです。
そうすることで、工事の適正な施工確保に繋がり、また下請負人の保護にも繋がります。
下請代金の支払時期
建設業法第24条の3では、元請負人が下請負人への代金支払いの時期を規定しています。
流れは以下のとおりです。
- 元請負人が注文者から出来高払いもしくは竣工払いを受けた
- その日から1ヶ月以内のできるだけ短い期間内に、元請負人は下請負人に支払い
仮に、下請契約で支払期日に関しもっと遅い期日で定められていた場合、下請契約の支払期日は無効となり、建設業法第24条の3の規定に従うことになります。
前払金を受けたときは
元請負人が前払金を受けた場合も同様に、下請負人へお金(前払金)の支払いを行うようにします。下請負人へ支払う前払金は、建設資材の購入など工事着手に必要な準備費用分になります。
ただし、前払金については、下請負人への支払い義務はありません。
行政書士法人名南経営は、建設業許可手続きだけでなく、スポットでの相談対応、従業員・協力会社向けの建設業法令研修や、模擬立入検査、コンプライアンス体制構築コンサルティングまで対応しております。MicrosoftTeamsを利用したWEB面談も可能です。お気軽にご相談ください。