建設業法第19条「建設工事の請負契約の内容」第2項、第3項解説
行政書士
寺嶋紫乃
行政書士法人名南経営(愛知県名古屋市)の所属行政書士。建設業者向けの研修や行政の立入検査への対応、建設業者のM&Aに伴う建設業法・建設業許可デューデリジェンスなど、建設業者のコンプライアンス指導・支援業務を得意としている。
条文の確認
(建設工事の請負契約の内容)
第十九条
2 請負契約の当事者は、請負契約の内容で前項に掲げる事項に該当するものを変更するときは、その変更の内容を書面に記載し、署名又は記名押印をして相互に交付しなければならない。
3 建設工事の請負契約の当事者は、前二項の規定による措置に代えて、政令で定めるところにより、当該契約の相手方の承諾を得て、電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法であつて、当該各項の規定による措置に準ずるものとして国土交通省令で定めるものを講ずることができる。この場合において、当該国土交通省令で定める措置を講じた者は、当該各項の規定による措置を講じたものとみなす。
契約内容を変更する場合には
工事の契約締結の方法は、前回の記事「建設業法第18条「建設工事の請負契約の原則」、第19条「建設工事の請負契約の内容」第1項解説」で解説した通りですが、契約締結後に契約内容を変更した場合の方法が第2項に規定されています。
後日紛争の原因とならないようにするため、変更契約においても通常の契約締結と同じように、書面によって行うことを明記しています。またその書面にも、署名又は記名押印をして相互に交付すべきこととしています。
着工前の時点で不明確な追加工事が必要になった場合には
変更契約においても、契約締結は着工前に行うこととされています。
しかし、数量的な追加工事の場合には、変更契約を着工前に締結することが難しくなります。(数量を伴う場合、工事の状況に応じて増減する場合があるため。)着工前の契約締結を遵守することが「不合理」となる場合があります。そのような場合には、変更契約締結を後回しにし、以下の事項を明記した書面を請負人と着工前に取り交わします。
- 工事の具体的な作業内容
- 当該追加工事などが契約変更の対象となること及び契約変更を行う時期
- 追加工事などに係る契約単価の額
追加工事が着工し数量等が確定した後には、遅滞なく変更契約を締結します。
電子契約書とは
建設工事においても、書面の契約書の代わりに電子契約書を用いて契約を締結することができますが、認められている電子契約書は基準を満たしたものでなければなりません。
いずれも満たしているものに限る。
・契約の相手方がファイルへの記録を出力することによる書面を作成することができること
・改変が行われていないかどうかを確認することができること
建設工事請負契約書の作成・チェックでお困りの方は、行政書士法人名南経営までお気軽にご連絡ください。
行政書士法人名南経営は、建設業許可手続きだけでなく、スポットでの相談対応、従業員・協力会社向けの建設業法令研修や、模擬立入検査、コンプライアンス体制構築コンサルティングまで対応しております。MicrosoftTeamsを利用したWEB面談も可能です。お気軽にご相談ください。