建設業法第7条「許可の基準」解説Part1
社員行政書士・東京事務所所長
大野裕次郎
建設業に参入する上場企業の建設業許可取得や大企業のグループ内の建設業許可維持のための顧問などの支援をしている。建設業者のコンプライアンス指導・支援業務を得意としており、建設業者の社内研修や建設業法令遵守のコンサルティングも行っている。
記事更新日:2020年10月1日
本記事は、2020年10月1日に施行された改正建設業法に関する規定の解説です。
条文の確認
旧建設業法(2020年9月30日までの規定)
(許可の基準)
第七条 国土交通大臣又は都道府県知事は、許可を受けようとする者が次に掲げる基準に適合していると認めるときでなければ、許可をしてはならない。
一 法人である場合においてはその役員(業務を執行する社員、取締役、執行役又はこれらに準ずる者をいう。以下同じ。)のうち常勤であるものの一人が、個人である場合においてはその者又はその支配人のうち一人が次のいずれかに該当する者であること。
イ 許可を受けようとする建設業に関し五年以上経営業務の管理責任者としての経験を有する者
ロ 国土交通大臣がイに掲げる者と同等以上の能力を有するものと認定した者
二~四(略)
建設業者の持続可能性の観点から、経営業務管理責任者に関する基準が見直され、経営能力をこれまでと同様に担保できる体制が整っている場合には、基準に適合しているものとし許可が認められることとなりました。つまり、個人の経験によって能力を担保していたこれまでの考え方が見直され、組織の中で経営業務の管理を適正に行うに足りる能力を有することが求められるようになったということです。
新しい規定は次のとおりです。
建設業法(2020年10月1日施行)
(許可の基準)
第七条 国土交通大臣又は都道府県知事は、許可を受けようとする者が次に掲げる基準に適合していると認めるときでなければ、許可をしてはならない。
一 建設業に係る経営業務の管理を適正に行うに足りる能力を有するものとして国土交通省令で定める基準に適合する者であること。
二~四(略)
国土交通省令で定める基準に適合する者とは?
建設業法施行規則第7条(法第7条第1号の基準)第1項のイロハのいずれかに該当するものである必要があります。
建設業法施行規則第7条イ
常勤役員等のうち一人が次のいずれかに該当する者であることが必要です。旧経営業務管理責任者とほぼ同じです。
(1)建設業に関し5年以上経営業務の管理責任者としての経験を有する者
(2)建設業に関し経営業務の管理責任者に準ずる地位(経営業務を執行する権限の委任を受けた者に限る。)にある者として5年以上経営業務を管理した経験を有する者
(3)建設業に関し6年以上経営業務の管理責任者に準ずる地位にある者として経営業務の管理責任者を補助する業務に従事した経験を有する者
建設業法施行規則第7条ロ
「ロ」は新しく出来た制度です。
常勤役員等のうち一人が次のいずれかに該当する者であって、かつ、財務管理の業務経験(許可を受けている建設業者にあっては当該建設業者、許可を受けようとする建設業を営む者にあっては当該建設業を営む者における5年以上の建設業の業務経験に限る。以下このロについて同じ。)を有する者、労務管理の業務経験を有する者及び業務運営の業務経験を有する者を当該常勤役員等を直接に補佐する者としてそれぞれ置くものであること。
ロについてまとめると下図のとおりです。
建設業法施行規則第7条ハ
国土交通大臣がイ又はロに掲げるものと同等以上の経営体制を有するものと認定したものです。
建設業許可に関してお困りのことがございましたら、行政書士法人名南経営までお気軽にご連絡ください。