建設業法令遵守ブログ

【建設業法】条文解説

建設業法第4条「附帯工事」解説

寺嶋紫乃

行政書士

寺嶋紫乃

行政書士法人名南経営(愛知県名古屋市)の所属行政書士。建設業者向けの研修や行政の立入検査への対応、建設業者のM&Aに伴う建設業法・建設業許可デューデリジェンスなど、建設業者のコンプライアンス指導・支援業務を得意としている。

条文の確認

(附帯工事)
第四条 建設業者は、許可を受けた建設業に係る建設工事を請け負う場合においては、当該建設工事に附帯する他の建設業に係る建設工事を請け負うことができる。

許可が無くても請負うことができる工事とは

建設業法上、許可が無くても請け負うことができる工事が2種類あります。
それが次の2種類の工事です。

① 軽微な建設工事   ※第3条「建設業の許可」解説Part1をご参照ください。
② 附帯工事

②附帯工事に関しては注意が必要で、「許可を受けた建設業に係る建設工事に附帯」する工事でなければなりません。

附帯工事とは

附帯工事とは、次のいずれかに該当する工事であって、それ自体が独立の使用目的に供されるものではないものをいいます。

① 主たる建設工事の施工をするために必要を生じた他の従たる建設工事
② 主たる建設工事の施工により必要を生じた他の従たる建設工事であり、それ自体が独立の使用目的に供されるものではない建設工事

附帯工事の性格から、原則として、主たる建設工事の工事価格を附帯工事の工事価格が上回ることはありません。(主従のバランスが崩れるため。)
また、建築一式工事など専門工事をいくつか組み合わせた一式工事が附帯工事に該当するということはありません。

附帯工事の事例

国土交通省の「建設業許可事務ガイドライン」では、「附帯工事の具体的な判断に当たっては、建設工事の注文者の利便、建設工事の請負契約の慣行等を基準とし、当該建設工事の準備、実施、仕上げ等に当たり一連又は一体の工事として施工することが必要又は相当と認められるか否かを総合的に検討する。」と記載されています。ここで、具体的な事例を見て、附帯工事の判断についてイメージをつかんでみてください。

作業の内容 主たる工事
(許可業種)
附帯工事
室内の電気配線の修繕をするために行う壁剥がし・壁貼り工事 電気工事 内装仕上工事
建物の外壁塗装工事をするために行う足場工事 塗装工事 とび・土工・コンクリート工事
ビルのエレベーター設置工事をするために行う電気配線工事 機械器具設置工事 電気工事
駐車場の舗装工事をするために行う造成工事 舗装工事 とび・土工・コンクリート工事

附帯工事は建設業許可が不要だからといって、何でもかんでも附帯工事として捉えて、複数の業種に該当する建設工事をまとめて受注してしまうことは建設業法違反となる可能性もあるためご注意ください。建設工事の業種判断や、附帯工事の考え方についてお悩みの方は、行政書士法人名南経営までお気軽にご連絡ください。