建設業法第3条「建設業の許可」解説Part1
行政書士
寺嶋紫乃
行政書士法人名南経営(愛知県名古屋市)の所属行政書士。建設業者向けの研修や行政の立入検査への対応、建設業者のM&Aに伴う建設業法・建設業許可デューデリジェンスなど、建設業者のコンプライアンス指導・支援業務を得意としている。
条文の確認
第3条 建設業を営もうとする者は、次に掲げる区分により、この章で定めるところにより、二以上の都道府県の区域内に営業所(本店又は支店若しくは政令で定めるこれに準ずるものをいう。以下同じ。)を設けて営業をしようとする場合にあつては国土交通大臣の、一の都道府県の区域内にのみ営業所を設けて営業をしようとする場合にあつては当該営業所の所在地を管轄する都道府県知事の許可を受けなければならない。ただし、政令で定める軽微な建設工事のみを請け負うことを営業とする者は、この限りでない。
一 建設業を営もうとする者であつて、次号に掲げる者以外のもの
二 建設業を営もうとする者であつて、その営業にあたつて、その者が発注者から直接請け負う一件の建設工事につき、その工事の全部又は一部を、下請代金の額(その工事に係る下請契約が二以上あるときは、下請代金の額の総額)が政令で定める金額以上となる下請契約を締結して施工しようとするもの
2 前項の許可は、別表第一の上欄に掲げる建設工事の種類ごとに、それぞれ同表の下欄に掲げる建設業に分けて与えるものとする。
建設業の許可について、第3条で規定されています。
まず第1項及び第2項を解説します。
第1項 国土交通大臣許可と都道府県知事許可
条文のとおり、2以上の都道府県に「営業所」を設置する場合は国土交通大臣許可に、それ以外は都道府県知事許可となります。ここでポイントとなるのは「営業所」です。
営業所とは『常時建設工事の請負契約を締結する事務所(建設業法施行令第1条)』と規定されています。工事の契約締結をする事務所であることを要し、臨時的に置かれる事務所や単なる事務連絡を行う事務所は建設業法のいうところの「営業所」には該当しません。
営業所は契約行為を行う事務所とわかりました。つまり、都道府県知事許可であっても、届出されている建設業の営業所で契約を締結さえすれば、全国とこでも工事を施工することが可能です。
軽微な建設工事
軽微な建設工事しか行わない業者は、建設業許可が無くても工事を行うことができます。
軽微な建設工事とは、以下のいずれかに該当する工事を指します。
①建築一式工事:工事1件の請負代金が1500万円未満の工事または延べ面積が150㎡未満の木造住宅工事
②建築一式工事以外:工事1件の請負代金が500万円未満の工事
次の点に注意が必要です。
- 工事の金額(面積も)は「未満」
- 工事の金額は「税込」
- 意図的な工事の分割請負は禁止
- 注文者から材料提供があった場合、材料費も工事金額に含める
- 建築一式工事の場合は金額、面積いずれかに該当すれば軽微な工事と判断
第2項 建設工事の種類
建設業は29業種に分類されています。(別表第一を参照)そして建設業の許可は、建設工事の種類ごとに取る必要があります。
勘違いされている方も多いのですが、「一式工事」の許可があってもすべての工事ができるわけではありません。「一式工事」は大規模または施工が複雑な工事であって、原則、元請業者の立場で総合的に工事を指導・監督する工事になります。そのような工事に該当しない場合には、専門の業種の許可が必要です。例えば、複数の業種が絡むような住宅のリフォーム工事といっても建築一式工事になるわけではなく、内装仕上工事、管工事、電気工事等の専門工事と判断されることがあります。
《 別表第一 》