【国土交通省 通達】国土建第161号「現場代理人の常駐義務緩和に関する適切な運用について(改正)」
行政書士
寺嶋紫乃
行政書士法人名南経営(愛知県名古屋市)の所属行政書士。建設業者向けの研修や行政の立入検査への対応、建設業者のM&Aに伴う建設業法・建設業許可デューデリジェンスなど、建設業者のコンプライアンス指導・支援業務を得意としている。
今回は現場代理人に関する通達を取り上げます。現場に配置する技術者(主任技術者等)とは役割等が異なりますので、内容を確認しておきましょう。
1.現場代理人とは
現場代理人とは、請負契約の的確な履行を確保するため、工事現場の運営や取締りを行うほか、工事の施工及び契約関係事務に関する一切の事項(請負代金の変更や契約解除等を除く。)を行使することができる者です。
そのため、発注者との常時の連絡に支障を来さないよう、工事現場への常駐(当該工事のみを担当し、かつ、作業期間中は常に工事現場に滞在していること)が義務付けられています。
※公共工事標準請負契約約款
第10条(現場代理人及び主任技術者)
2 現場代理人は、この契約の履行に関し、工事現場に常駐し、その運営、取締りを行うほか、 請負代金額の変更、請負代金の請求及び受領、第十二条第一項の請求の受理、同条第三項の決 定及び通知並びにこの契約の解除に係る権限を除き、この契約に基づく受注者の一切の権限を 行使することができる。
常駐が求められる現場代理人ですが、主任技術者や監理技術者のように一定の資格や一定の経験等の特別な資格等は必要ありません。
ただし、現場代理人の役割を考えると、工事現場の運営や受注者の権限の代理行使に関して支障のない者を選任することが望ましいと考えます。。
2.常駐義務の緩和
現場代理人は原則として現場に常駐が義務付けられていますが、一定の条件を満たしたときに限り、常駐義務を緩和することができます。
1つ目の条件は、公共工事標準請負契約約款(https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/content/001487190.pdf)の第10条第3項の場合です。
3 発注者は、前項の規定にかかわらず、現場代理人の工事現場における運営、取締り及び権限の行使に支障がなく、かつ、発注者との連絡体制が確保されると認めた場合には、現場代理人 について工事現場における常駐を要しないこととすることができる。
具体的には、個別判断が必要になりますが、考え方は以下のとおりです。
(1)契約締結後、現場事務所の設置、資機材の搬入又は仮設工事等が開始されるまでの期間や、工事の全部の施工を一時中止している期間等
(2)次の①及び②をいずれも満たす場合
① 工事の規模・内容について、安全管理、工程管理等の工事現場の運営、取締り等が困難なものでないこと=主任技術者又は監理技術者の専任が必要とされない工事
② 発注者又は監督員と常に携帯電話等で連絡をとれること
現場代理人の常駐義務が緩和されたため、他の工事の現場代理人や配置技術者等を兼任することが可能となりました。ただし、営業所の専任技術者とは原則兼務ができないので注意が必要です。
<常駐が必要な期間と緩和される期間>