【国土交通省 通達】国土建第357号「持株会社の子会社が置く主任技術者又は監理技術者の直接的かつ恒常的な雇用関係の取扱いについて(改正)」に関する企業集団について
行政書士
寺嶋紫乃
行政書士法人名南経営(愛知県名古屋市)の所属行政書士。建設業者向けの研修や行政の立入検査への対応、建設業者のM&Aに伴う建設業法・建設業許可デューデリジェンスなど、建設業者のコンプライアンス指導・支援業務を得意としている。
今回は前回取り上げた「配置技術者の雇用関係に関連する通達」の中で出てきた企業集団について、詳しく見ていきたいと思います。。
1.企業集団とは
企業集団とは、「建設業法第 27 条の 23第 3 項の規定による経営事項審査の項目及び基準(平成 20 年 1 月 31 日国土交通省告示第 85 号」附則 6 の規定により認定を受けた企業集団のことをいいます。この認定は、国土交通大臣から受けます。
まず、大前提として企業集団の認定を受けるために親子間関係のある会社の親会社が申請をします。そして認定を受けるためには、親会社・子会社それぞれが以下の要件を満たす必要があります。
【親会社】
1.親会社が子会社の発行済株式の総数を有する者であること
2.金融商品取引法大24条の規定により有価証券報告書を内閣総理大臣に提出しなければならない者であること
3.主として企業集団全体の経営管理を行う者であること【子会社】
1.建設業者であること
(企業集団を構成する子会社のみであって、企業集団に含まれない子会社は建設業者でなくても問題ありません。)【親会社・子会社】
1.親・子いずれかのみ、もしくはいずれもが経営事項審査を受けていない者であること
2.いずれも他の企業集団に属していないこと
3.企業結合により経営基盤の強化を行おうとする建設業者がある場合であること
要件を満たし国土交通大臣の認可を受けた企業集団では、親会社から子会社へ出向した者が、子会社の請負った建設工事の主任技術者又は監理技術者になることができます。
2.注意点①子会社間での出向
企業集団の親子間では出向社員が主任技術者等になることができますが、企業集団を構成する子会社間の出向はどうでしょうか。
企業集団のルールとして、子会社が出向者を主任技術者等に現場配置することができるのは、親会社からの出向社員に限られています。つまり、企業集団を構成する子会社から子会社への出向社員を、主任技術者等に配置することはできないので注意しましょう。
3.注意点②出向社員を現場配置した場合
親会社からの出向社員を現場の主任技術者等として配置した工事においては、その工事に関わる下請業者に注意をする必要があります。
上記のケースでは、工事に関わる下請負人に親会社又はこの子会社と同じ企業集団に属する他の子会社が含まれることは認められません。1次下請、2次下請…と、すべての工事関係者が対象となるので注意しましょう。
そして、下請負人がこの条件を満たしているか否かについては、施工体制台帳等により確認することとなります。