【建設業許可事務ガイドライン】工事経歴書の作成ルール
行政書士
寺嶋紫乃
行政書士法人名南経営(愛知県名古屋市)の所属行政書士。建設業者向けの研修や行政の立入検査への対応、建設業者のM&Aに伴う建設業法・建設業許可デューデリジェンスなど、建設業者のコンプライアンス指導・支援業務を得意としている。
法令遵守の観点からは直接的に関係ありませんが、許可取得・維持に必要不可欠な申請書等の作成に関して、数回にわたり見ていきます。今回は、「工事経歴書」について取り上げます。
1.工事経歴書とは
工事経歴書は様式第二号で作成する書類で、様式が決まっており、またいくつかの作成のルールがあります。ただし、作成のルール(提出先が受け付けてくれる作成ルール)は許可行政庁によって少し異なります。そのため、ここでは一般的なルールのみ取り上げます。
《工事経歴書 様式第二号》
2.作成ルール
①許可を受けようとする建設業/許可を保有している建設業に対応する建設工事の種類ごとに作成する。
②他の建設工事と二重に計上することはできない。
建築一式工事で請け負った場合には、この工事を管工事又は電気工事とその他の工事に分割し、それぞれ管工事、電気工事又は建築一式工事に分割計上することはできません。この場合は建築一式工事の工事経歴書に記載します。
考え方としては、基本的に「1つの契約書で1つの業種へ振り分ける」という事です。
③完成工事として記載する工事は、申請又は届出を行う日の属する事業年度の前事業年度に完成した工事を記載する。
④記載を要する完成工事の範囲については、経営事項審査を受審するか否かで異なる。
経営事項審査を受審する場合は、下記のフローチャートの手順で作成を進めます。経営事項審査を受審しない場合は、請負金額の大きいものから記載します。(詳細なルールは許可行政庁の手引きで確認をしてください。)
⑤経営事項審査を受審する場合、「請負代金の額」は 消費税及び地方消費税の額を除いた額を記載する。
⑥「注文者」及び「工事名」に個人の氏名がある場合、イニシャル表記にする。
《経営事項審査受審業者の工事経歴書作成のルール》
作成ルールは以上の通りですが、作成をするためには、まず請け負った工事の業種判断をしなければならず、また、1年分の実績データを処理する等、いくつかの作業を伴います。日々、工事に関する情報やデータの整理を行い、工事経歴書を作成しやすいように情報等の管理をしておくことをお勧めします。