【建設業許可事務ガイドライン】工事経歴書の作成ルール
行政書士
寺嶋紫乃
行政書士法人名南経営(愛知県名古屋市)の所属行政書士。建設業者向けの研修や行政の立入検査への対応、建設業者のM&Aに伴う建設業法・建設業許可デューデリジェンスなど、建設業者のコンプライアンス指導・支援業務を得意としている。
建設業許可の取得や更新を行う際には、工事経歴書の正確な作成が不可欠です。工事経歴書は、建設業法及び国土交通省の定めに基づき、一定の様式と記載ルールが定められております。この記事では、工事経歴書の作成ルールや注意点について、行政書士の視点から分かりやすく解説いたします。
工事経歴書とは何か
工事経歴書は、建設業許可業者が毎事業年度終了後に所定の様式(様式第二号)により作成し、許可行政庁に提出する必要がある書類です。これは、建設業法第11条に基づく重要な申請書類の一つとなります。
建設業法第11条
「許可を受けた建設業者は、国土交通省令で定めるところにより、毎事業年度経過後一定期間内に、その事業年度における営業報告書その他国土交通省令で定める書類をその許可行政庁に提出しなければならない。」
工事経歴書は、過去1年間に完成した工事の実績を「工事の種類ごと」に記載し、業種ごとの事業活動内容や経営事項審査(経審)などで利用されます。
■工事経歴書の様式

工事経歴書の作成ルール
工事経歴書を作成する際の主なポイントは、国土交通省の「建設業許可事務ガイドライン」や各都道府県の手引きにより詳細が示されています。以下に最新のルールに沿った主な作成手順をまとめます。
工事の種類ごとに作成する
工事経歴書は、許可を受けている業種ごとに作成しなければなりません。例えば、「土木一式工事」「建築一式工事」など業種ごとに、該当する工事実績を分けて記載します。
二重計上の禁止と業種の振り分け
同じ工事について、異なる業種で重複して計上することは禁止されています。例えば、建築一式工事で受注した工事を、管工事や電気工事などに分割して記載してはいけません。1つの契約は1つの業種でのみ計上する必要があります。
記載対象となる工事の範囲
記載する工事は、申請や届出を行う日の属する事業年度の「前事業年度」に完成した工事について記載します。事業年度の区切りは、各社ごとに異なる場合が多いため注意が必要です。
経営事項審査(経審)受審の有無による違い
経営事項審査を受ける場合と受けない場合で、記載する工事の範囲や並べ方が異なります。
- 経審を受ける場合:次の①②の手順に沿って、請負代金は消費税及び地方消費税を除いた金額で記載します。
①元請工事に係る完成工事について、元請工事の完成工事高合計の7割を超えるところまで記載
②続けて、残りの元請工事と下請工事に係る完成工事について、全体の完成工事高合計の7割を超えるところまで記載
※ただし、①②において、1,000億円又は軽微な工事の10件を超える部分については記載を要しない - 経審を受けない場合:請負金額の大きいものから順に、主要な工事実績を記載します。
■経審を受ける場合の記載フロー

出典:国土交通省「工事経歴書(第2号様式)の記載フロー」
個人名の取扱い
注文者や工事名に個人名が含まれている場合、個人情報保護の観点からイニシャル表記とします。
その他の注意点
- 工事経歴書の作成にあたっては、日々の工事記録や受注・完成のデータを正確に管理しておくことが重要です。
- 書類の記載内容に誤りや不備がある場合、許可行政庁から補正を求められることがありますので、十分ご注意ください。
まとめ
建設業許可における工事経歴書の作成は、法令に基づき定められた様式とルールに則って正確に行う必要があります。適切な記載とデータ管理を日頃から心掛けることで、円滑な許可申請や経営事項審査に繋がります。専門的な内容や不明点がある場合は、行政書士などの専門家に相談されることをおすすめいたします。
お問い合わせはこちら- 建設業法の研修を実施してほしい
- 立入検査対応に不安がある
- 建設業法に関する質問・相談がしたい
- 建設業法改正に対応できているか不安
行政書士法人名南経営が解決への一歩をサポートいたします!