【建設業許可事務ガイドライン】建設業許可の有効期間
行政書士
寺嶋紫乃
行政書士法人名南経営(愛知県名古屋市)の所属行政書士。建設業者向けの研修や行政の立入検査への対応、建設業者のM&Aに伴う建設業法・建設業許可デューデリジェンスなど、建設業者のコンプライアンス指導・支援業務を得意としている。
今回は建設業許可の有効期間について、注意すべき事項を取り上げたいと思います。
1.建設業許可の更新と業種追加の申請
業種追加申請を何度も行っている場合等、2つ以上の許可の有効期間を持つ建設業者はいます。そのような建設業者は、建設業許可の調整(一本化)することをお勧めします。
それぞれを別の許可としてそのままにすると、許可の有効期間が異なるため、建設業許可の更新を忘れてしまう可能性が高くなります。また、更新の都度、更新手数料が発生することになるため、許可維持のための費用が増えることになります。
そのため、同一業者で別個に二以上の許可を受けているものについては、一の許可の更新を申請する際に、できるだけ有効期間の残っている他の建設業の許可についても同時に一件の許可の更新として申請するようにしましょう。
また、許可更新のタイミングで業種追加の申請をし、全ての許可の有効期間を一緒にしたいという相談を受けることがあります。もちろん、更新と業種追加申請を同時に行うことは手続き上可能ですが、1点注意点があります。申請の時期です。
更新と業種追加の申請を同時に行いたい場合は、現在有効な建設業許可の有効期間が原則6ヶ月以上残っていることが必要です。業種追加の申請についてある程度の審査期間が必要となるため、最短6ヶ月という期間を設けています。もし6ヶ月未満となってしまった場合は、別々の申請として、許可の有効期間が2つになってしまいます。
更新と業種追加の申請を一緒に行うことを検討している建設業者は早めに専門家に相談、もしくは自社対応の準備を早めに進めてください。
2.許可の有効期間の取扱い
弊社でよく質問がある事項の一つが許可の有効期間についてです。
原則として、許可の有効期間は、許可のあった日から5年目の許可があった日に対応する日の前日をもって満了します。例えば令和4年2月1日に許可があった場合、有効期間は令和9年1月31日までとなります。これについてはみなさん問題無いと思います。
ただし、当該期間の末日が日曜等の休日であっても、その日をもって満了するので注意が必要です。では、なぜこの点に注意が必要なのでしょうか。
建設業許可の更新申請は許可の有効期間内に行わなければ、更新申請として受付けてもらえません。更新申請をせずに1日でも許可の有効期間を過ぎてしまえば、許可は消滅してしまうということです。先ほどの例をもう一度見てみます。有効期間は令和9年1月31日までで、この日は日曜日です。1月31日までに更新申請を行えばいいのですが、あいにく日曜日なので役所等の窓口は業務を行っていません。そうすると、更新申請は役所等の稼働日である平日しか行えないので、1月29日の金曜日までに行う必要があるということです。
2月1日月曜日に急いで更新申請へ行っても、もう有効期間は過ぎているので受付けてもらえないということです。
もう1点、許可の有効期間についてお伝えしたいことがあります。更新の申請を許可の有効期間ギリギリに行った場合、新しい許可が出るまでにはある程度時間を要します。更新の申請の審査期間があるためです。更新申請から新しい許可が出るまでの間に、現在有効な許可の期限を迎えてしまうことがあります。
その場合の許可の取扱いは、申請の処分(新たな許可が出る、もしくは許可が出ない・更新できないという判断)がされるまでの間、従前の許可が効力を有するとして扱われます。つまり申請の審査中は、許可期間を過ぎてもこれまでの許可が有効なため、許可業者として建設業を営むことができます。
ただし、この取り扱いはあくまでも更新の申請が受け付けられていることが前提です。とりあえず郵送提出した、窓口へ持参した、というだけでは受理されているとは限りません。必ず申請が受理されたことを確認するようにしましょう。