【建設業許可事務ガイドライン】専門工事の考え方Part7
行政書士
寺嶋紫乃
行政書士法人名南経営(愛知県名古屋市)の所属行政書士。建設業者向けの研修や行政の立入検査への対応、建設業者のM&Aに伴う建設業法・建設業許可デューデリジェンスなど、建設業者のコンプライアンス指導・支援業務を得意としている。
引き続き「建設業許可事務ガイドライン」について取り上げていきます。
そして今回は第7回目の専門工事の解説で、専門工事も残りわずかとなります。
1.熱絶縁工事とは
熱絶縁工事とは、工作物又は工作物の設備を熱絶縁する工事です。
名称そのままの工事のため、建設業許可事務ガイドラインにおいては、特に注意事項や説明がありません。
分かりやすい工事の例示を上げると、ビルや商業施設などの暖房設備の配管やダクトに、断熱材などの外装材を巻いて、熱の拡散を防ぐための工事が熱絶縁工事です。
2.電気通信工事とは
電気通信工事とは、有線電気通信設備、無線電気通信設備、ネットワーク設備、情報設備、放送機械設備等の電気通信設備を設置する工事です。
建設業許可事務ガイドラインにおいては、以下の通り説明されています。
① 既に設置された電気通信設備の改修、修繕又は補修は『電気通信工事』に該当する。なお、保守(電気通信施設の機能性能及び耐久性の確保を図るために実施する点検、整備及び修理をいう。)に関する役務の提供等の業務は、『電気通信工事』に該当しない。
② 『機械器具設置工事』には広くすべての機械器具類の設置に関する工事が含まれるため、機械器具の種類によっては『電気工事』、『管工事』、『電気通信工事』、『消防施設工事』等と重複するものもあるが、これらについては原則として『電気工事』等それぞれの専門の工事の方に区分するものとし、これらいずれにも該当しない機械器具あるいは複合的な機械器具の設置が『機械器具設置工事』に該当する。
建設業者様の中にも、電気工事と電気通信工事の区別がうまくできていないケースが見受けられます。電気通信工事は、情報伝達設備を整える工事とイメージしていただくと分かりやすいのではないでしょうか。
また、一般的に電気工事と電気通信工事では、それぞれ扱う電力にも違いがあるようです。
3.造園工事とは
造園工事とは、整地、樹木の植栽、景石のすえ付け等により庭園、公園、緑地等の苑地を築造し、道路、建築物の屋上等を緑化し、又は植生を復元する工事です。
建設業許可事務ガイドラインにおいては、以下の通り説明されています。
① 「植栽工事」には、植生を復元する建設工事が含まれる。
② 「広場工事」とは、修景広場、芝生広場、運動広場その他の広場を築造する工事であり、「園路工事」とは、公園内の遊歩道、緑道等を建設する工事である。
③ 「公園設備工事」には、花壇、噴水その他の修景施設、休憩所その他の休養施設、遊戯施設、便益施設等の建設工事が含まれる。
④ 「屋上等緑化工事」とは、建築物の屋上、壁面等を緑化する建設工事である。
⑤ 「緑地育成工事」とは、樹木、芝生、草花等の植物を育成する建設工事であり、土壌改良や支柱の設置等を伴って行う工事である。
造園工事のなかで注意いただきたいのは、剪定作業や伐根作業です。まず「剪定」は一般的に枝を切るだけなので、そもそも建設工事には該当しません。「伐根」とは樹木の切り株を根っこごと掘り起こして抜き取る作業です。伐根作業は、建設工事に該当するものと該当しないものがあります。建設工事に該当するのは、掘り起こし作業に重機を用いて行う伐根作業です。手作業での掘り起しは、建設工事には該当しないため、その点は注意が必要です。
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