【建設業許可事務ガイドライン】専門工事の考え方Part1
行政書士
寺嶋紫乃
行政書士法人名南経営(愛知県名古屋市)の所属行政書士。建設業者向けの研修や行政の立入検査への対応、建設業者のM&Aに伴う建設業法・建設業許可デューデリジェンスなど、建設業者のコンプライアンス指導・支援業務を得意としている。
「建設業許可事務ガイドライン」について取り上げております。
数回にわたり、建設業の業種について詳しく見ていきます。前回は「一式工事」の2業種をでしたが、今回からは27業種の「専門工事」を順番に見ていきます。
1.大工工事とは
建設業事務ガイドラインでは、大工工事の考え方が取り上げられていませんが、考え方としては「木材」を加工したり取り付けたりする工事です。材質が木材でなければ、大工工事には該当しません。
代表的な工事の例示としては、型枠工事です。
2.左官工事とは
建設業許可事務ガイドラインにおいては、左官工事について以下の考え方をしています。
① 防水モルタルを用いた防水工事は左官工事業、防水工事業どちらの業種の許可でも施工可能である。
② ラス張り工事及び乾式壁工事については、通常、左官工事を行う際の準備作業として当然に含まれているものである。
③ 『左官工事』における「吹付け工事」とは、建築物に対するモルタル等を吹付ける工事をいい、『とび・土工・コンクリート工事』における「吹付け工事」とは、「モルタル吹付け工事」及び「種子吹付け工事」を総称したものであり、法面処理等のためにモルタル又は種子を吹付ける工事をいう。
まとめると、工作物に粘土やモルタル等をこて塗り、吹き付け、はりつけをする工事が左官工事です。
3.とび・土工・コンクリート工事とは
まず、とび・土工・コンクリート工事に該当する工事の例示を示します。
①とび工事、ひき工事、足場等仮設工事、重量物のクレーン等による揚重運搬配置工事、鉄骨組立て工事、コンクリートブロック据付け工事
②くい工事、くい打ち工事、くい抜き工事、場所打ぐい工事
③土工事、掘削工事、根切り工事、発破工事、盛土工事
④コンクリート工事、コンクリート打設工事、コンクリート圧送工事、プレストレストコンクリート工事
⑤地すべり防止工事、地盤改良工事、ボーリンググラウト工事、土留め工事、仮締切り工事、吹付け工事、法面保護工事、道路付属物設置工事、屋外広告物設置工事、捨石工事、外構工事、はつり工事、切断穿孔工事、アンカー工事、あと施工アンカー工事、潜水工事
①は、足場の組立てやクレーン等により機械器具・建設資材等の運搬配置・組立てを行う工事です。
②は、くい打ちや、くい抜きを行う工事です。
③は、土砂等の掘削、盛上げ、締固めを行う工事です。 ④は、コンクリートにより工作物を築造する工事です。
⑤は、基礎工事と呼ばれるもので、基礎もしくは準備となる工事です。
建設業許可事務ガイドラインにおいては、とび・土工・コンクリート工事について考え方をしていますが、数が多いためその中でも特に注意が必要な考え方を、以下に取り上げます。
(1)『とび・土工・コンクリート工事』における「鉄骨組立工事」と『鋼構造物工事』における「鉄骨工事」との区分の考え方は、鉄骨の製作、加工から組立てまでを一貫して請け負うのが『鋼構造物工事』における「鉄骨工事」であり、既に加工された鉄骨を現場で組立てることのみを請け負うのが『とび・土工・コンクリート工事』における「鉄骨組立工事」である。 (2)「道路付属物設置工事」には、道路標識やガードレールの設置工事が含まれる。
(3)『とび・土工・コンクリート工事』における「屋外広告物設置工事」と『鋼構造物工事』における「屋外広告工事」との区分の考え方は、現場で屋外広告物の製作、加工から設置までを一貫して請け負うのが『鋼構造物工事』における「屋外広告工事」であり、それ以外の工事が『とび・土工・コンクリート工事』における「屋外広告物設置工事」である。
特に(3)の屋外広告設置工事については、特に違いを気にしていない建設業者もいると思いますが、明確な違いがあるので、この違いはしっかり理解しておく必要があります。
行政書士法人名南経営は、建設業許可手続きだけでなく、スポットでの相談対応、従業員・協力会社向けの建設業法令研修や、模擬立入検査、コンプライアンス体制構築コンサルティングまで対応しております。MicrosoftTeamsを利用したWEB面談も可能です。お気軽にご相談ください。