建設業法令遵守ブログ

【建設業法】関連コラム

宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン

大野裕次郎

社員行政書士・東京事務所所長

大野裕次郎

建設業に参入する上場企業の建設業許可取得や大企業のグループ内の建設業許可維持のための顧問などの支援をしている。建設業者のコンプライアンス指導・支援業務を得意としており、建設業者の社内研修や建設業法令遵守のコンサルティングも行っている。

国土交通省において、「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」が策定されました。本ガイドラインは、不動産取引にあたって、取引の対象不動産において過去に生じた人の死に関する事案について、宅地建物取引業者による適切な調査や告知に係る判断基準がなく、取引現場の判断が難しいことで、円滑な流通や、安心できる取引が阻害されているとの指摘を受けて策定されたものです。

ガイドラインの概要

取引の対象不動産において過去に人の死が生じた場合に、宅地建物取引業者が負うべき義務を、裁判例や取引実務に照らして、一般的に妥当と考えられる基準がまとめられたガイドラインです。宅地建物取引業者が本ガイドラインで示した対応を行わなかった場合、そのことだけをもって直ちに宅地建物取引業法違反となるものではありませんが、トラブルとなった場合には、行政庁における監督に当たって、本ガイドラインが参考にされることとなるようです。

ガイドラインでは、例えば以下の事項等について整理されています。
・宅地建物取引業者が媒介を行う場合、売主・貸主に対し、過去に生じた人の死について、告知書等に記載を求めることで、通常の情報収集としての調査義務を果たしたものとする。
・取引の対象不動産で発生した自然死・日常生活の中での不慮の死(転倒事故、誤嚥など)については、原則として告げなくてもよい。
・賃貸借取引の対象不動産・日常生活において通常使用する必要がある集合住宅の共用部分で発生した自然死・日常生活の中での不慮の死以外の死が発生し、事案発生から概ね3年が経過した後は、原則として告げなくてもよい。
・人の死の発生から経過した期間や死因に関わらず、買主・借主から事案の有無について問われた場合や、社会的影響の大きさから買主・借主において把握しておくべき特段の事情があると認識した場合等は告げる必要がある。

宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン

国土交通省のホームページに掲載されています。

»「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」

 

ガイドラインはあくまで一般的に妥当と考えられる基準であるため、取引に当たっては、トラブルの未然防止の観点から、宅地建物取引業者は買主・借主の意向を事前に十分把握し、人の死に関する事案の存在を重要視することを認識した場合には特に慎重に対応することが望ましいとされています。

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