建設キャリアアップシステムは本当に必要?導入前に知っておきたいメリット・デメリットを専門家が解説
行政書士
寺嶋紫乃
行政書士法人名南経営(愛知県名古屋市)の所属行政書士。建設業者向けの研修や行政の立入検査への対応、建設業者のM&Aに伴う建設業法・建設業許可デューデリジェンスなど、建設業者のコンプライアンス指導・支援業務を得意としている。
元請からCCUS(建設キャリアアップシステム)の登録を勧められたけれど、費用も手間もかかりそうで躊躇している…そんなお悩みをお持ちの建設業者様が増えています。「ぶっちゃけ、導入してどんなメリットがあるの? デメリットは?」という核心部分に迫ります。貴社の導入判断にお役立てください。
建設キャリアアップシステムのメリット
CCUSは、建設業界全体の透明性を向上させ、技能者の適正な評価や処遇改善を目指して設計されたシステムです。そのメリットをより具体的に見ていきましょう。
経営メリット
公共工事・経審(経営事項審査)への加点
CCUSは、国土交通省が推進している重要な施策の一部であり、経営事項審査(経審)の加点対象となっています。導入状況や技能者の登録状況に応じて評価されるため、公共工事を多く手掛ける企業には大きなメリットがあります。
特に近年、国土交通省は公共工事における入札で、CCUS登録を評価基準の一つとする流れを強化しています。これにより、未導入の企業と導入済みの企業の間で競争力の差が生じる可能性があります。公共工事の受注を目指す企業にとって、CCUS導入は避けて通れない課題と言えるでしょう。
現場管理の効率化
CCUSを利用することで、技能者の就業履歴や資格情報をオンラインで一元管理できます。これにより、現場での入退場管理が簡素化されるだけでなく、事務作業の負担も大幅に軽減されます。
さらに、CCUSは施工体制台帳や作業員名簿の作成を支援する機能を備えており、これらの書類を短時間で正確に作成することができます。特に大規模な工事現場では、事務員の手間を減らし、現場運営の効率化が図れます。
外国人雇用(特定技能)の必須要件
現在、特定技能外国人を雇用する場合、CCUSへの登録が義務付けられています。これは、外国人技能実習法や入管法に基づくものであり、違反すると罰則を受ける可能性があります。
将来的に外国人技能者の受け入れを検討している事業者にとって、CCUS登録は早急に取り組むべき課題です。また、外国人労働者のスムーズな受け入れと適正な評価を実現するためにも、CCUSの活用が求められています。
「選ばれる会社」になるための採用ブランディング
若い世代を中心に、労働者は自分のキャリア形成やスキルの可視化を重視する傾向があります。CCUSを導入することで、技能者の能力や実績を明確に示し、「適正な評価を行う企業」としての姿勢をアピールできます。
また、若手の就職活動において、CCUSを導入している企業は「ホワイト企業」としての認識を持たれやすく、優秀な人材の確保や定着率向上にもつながります。特に人材不足が深刻な建設業界において、将来を見据えた採用ブランディングの一環としてCCUSを活用することは、企業の競争力を高める重要な要素です。
現場メリット
技能者の処遇改善
CCUSは、技能者が自身の資格や経験を「見える化」することを可能にします。これにより、技能者は適切な評価を受けやすくなり、賃金や処遇の改善が期待できます。
また、CCUSは労働者のスキルアップを後押しする仕組みも整備しており、資格取得やトレーニングの履歴を一元管理できるため、技能者のキャリア形成を支援します。これにより、企業は優秀な人材を長期的に確保しやすくなるでしょう。
施工体制台帳・作業員名簿の作成支援
CCUSは、グリーンサイトなどの他のシステムと連携することで、安全書類の作成を大幅に簡略化します。これにより、施工体制台帳や作業員名簿の作成が効率的に行えるようになり、現場の管理負担を軽減します。
特に、安全書類の提出が頻繁な現場では、CCUSを活用することで事務作業の効率を大幅に向上させることができます。
建設キャリアアップシステムのデメリット
初期登録の「書類集め」が大変
CCUSの導入には、事業者登録および技能者登録が必要です。特に技能者登録の際には、資格証明書や就業履歴など、多くの書類を準備する必要があります。この手間が大きな負担となり、登録作業が進まない原因となることがあります。
また、登録手続きに不備があると、申請が差し戻されることがあり、手続きが長期化するケースも少なくありません。
ランニングコストがかかる
CCUSは無料で利用できるシステムではありません。事業者登録料や技能者登録料が発生するほか、運用時には管理者IDの利用料や専用端末の導入費用も必要です。
これらのランニングコストは、特に中小企業や個人事業主にとって経済的な負担となる可能性があります。導入前には、これらの費用を十分に検討する必要があります。
【判断基準】導入をおすすめする会社・まだ待ってもいい会社
導入を急ぐべき会社
以下の条件に該当する企業は、早期導入を検討すべきです。
- 公共工事に多く携わっている
- 外国人技能者の雇用を予定している
- 若手人材の採用や定着を課題としている
- 大規模な現場を複数抱えており、効率的な管理が求められる
様子見でもいい会社
以下の条件に該当する企業は、導入を急ぐ必要はないでしょう。
- 主に民間工事を手掛けている
- 外国人技能者の雇用予定がない
- 業務規模が小さく、技能者登録の必要性が低い
建設キャリアアップシステム導入における課題解決策
CCUS導入の最大の課題は、初期登録の煩雑さです。特に、書類不備や手続きの遅れが原因で、何度も申請が差し戻されるケースが多発しています。
こうした課題を解決するためには、行政書士に外部委託することが効果的です。専門家に依頼することで、登録手続きがスムーズに進み、企業はシステム運用に集中することができます。また、外部委託を利用することで、事務員の負担が軽減されるため、業務効率の向上にもつながります。

《引用:国土交通省「建設キャリアアップシステムの利用手順」より》
建設キャリアアップシステムのまとめ
CCUSは、建設業界における労働環境の改善と効率化を目指したシステムであり、多くのメリットがあります。一方で、導入にはコストや手間が伴うため、事前に十分な準備と検討が必要です。
企業の規模や業務内容、将来の経営方針に基づいて、導入のメリット・デメリットを慎重に比較することが重要です。専門家の力を借りることで、スムーズな導入と運用が可能になります。ぜひ今回の情報を参考に、最適な選択をしていただければ幸いです。
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