【監督処分の基準】具体的な基準Part5
行政書士
寺嶋紫乃
行政書士法人名南経営(愛知県名古屋市)の所属行政書士。建設業者向けの研修や行政の立入検査への対応、建設業者のM&Aに伴う建設業法・建設業許可デューデリジェンスなど、建設業者のコンプライアンス指導・支援業務を得意としている。
令和2年10月の建設業法の改正に伴い「建設業者の不正行為等に対する監督処分の基準(監督処分基準)」が改正されました。改正された部分はもちろんのこと、この基準の内容を解説し、建設業法令遵守にお役立ていただきたいと思います。
本日は、監督処分の基準の具体的な考え方について取り上げます。具体的な考え方については、細かく分類されていますので、複数回に分けて解説してきました。今回が最後になります。
1.履行確保法違反の場合
「履行確保法」とは、正式には「特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律」のことで、住宅購入者等の利益の保護を図ることを目的としています。その履行確保法第5条(住宅を新築する建設工事の請負契約の新たな締結の制限)の規定に違反した場合には、指示処分が行われます。指示処分に従わない場合には、機動的に営業停止処分が行われ、この場合において営業停止の期間は、15日以上となります。
また、履行確保法第3条第1項(住宅建設瑕疵担保保証金の供託等について)又は第7条第1項(住宅建設瑕疵担保保証金の不足額の供託について)の規定に違反した場合には、指示処分が行われます。指示処分に従わない場合には、機動的に営業停止処分が行われ、この場合において営業停止の期間は、7日以上となります。
2.その他の事項
監督処分の基準に関して、以下の点を補足しておきます。
① 建設業許可又は経営事項審査に係る虚偽申請等、建設業法に規定する罰則の適用対象となる不正行為等については、告発をもって臨むなど、法の厳正な運用に努めることとします。
② 不正行為等に対する監督処分に係る調査等は、原則として、当該不正行為等があった時から3年以内に行うものとします。ただし、他法令違反等に係る監督処分事由に該当する不正行為等であって、公訴提起されたもの等については、この限りではありません。
③ 監督処分の内容については、速やかに公表することとします。
3.「監督処分の基準」についてのまとめ
数週間にわたって解説をしてきた監督処分の基準ですが、これらの内容は令和3年7月26日から施行された内容です。(一部に改正があったためです。)そのためこの基準は、その施行後に不正行為等が行われたものから適用し、施行日前に行われた不正行為等に対する適用については、従前の処分基準となるのでご注意ください。
建設業法を中心に、関係法令を含め、法律そのものが改正されることもあります。この処分基準の知識補填や理解だけでなく、関係法律も一緒に最新の状態で理解を進めていただき、御社の法令遵守への取組みに繋げていただけることを期待します。
行政書士法人名南経営は、建設業許可手続きだけでなく、スポットでの相談対応、従業員・協力会社向けの建設業法令研修や、模擬立入検査、コンプライアンス体制構築コンサルティングまで対応しております。MicrosoftTeamsを利用したWEB面談も可能です。お気軽にご相談ください。