パナソニックグループ会社による技術検定の実務経験不備等
社員行政書士・東京事務所所長
大野裕次郎
建設業に参入する上場企業の建設業許可取得や大企業のグループ内の建設業許可維持のための顧問などの支援をしている。建設業者のコンプライアンス指導・支援業務を得意としており、建設業者の社内研修や建設業法令遵守のコンサルティングも行っている。
パナソニックグループのパナソニック環境エンジニアリング株式会社(以下、PESENG)と、パナソニックコンシューマーマーケティング株式会社(以下、PCMC)で、施⼯管理技⼠資格等を不適切に取得していた疑義が発覚した問題を受け、パナソニック株式会社は、PESENGおよびPCMCを除くパナソニックグループ会社に関して第三者委員会に調査を委嘱していましたが、その「調査報告書」が公表されました。
調査結果の概要
(1) 施⼯管理技⼠資格
資格判定対象の技術者数と資格数はそれぞれ合計2,308名、3,284資格で、実務経験に不備があると判定されたのは合計390名、475資格だった。(PESENG及びPCMCにおいて実務経験に不備があると判定された技術者数と資格数を合わせると合計500名、622資格。)
(2) 監理技術者資格
資格判定対象の技術者数と資格数はそれぞれ合計251 名、253資格で、実務経験に不備があると判定されたのは合計13名、13資格だった。(PESENGにおいて実務経験に不備があると判定された技術者数と資格数を合わせると合計38 名、38資格(PCMCは0名)。)
(3) 営業所の専任技術者
実務経験に不備があると判定された者のうちパナソニックグループ会社の専任技術者として配置された者は合計58 名、その者が専任技術者として配置された建設⼯事の種類数は合計85 個。
実務経験の不備者が主任技術者または監理技術者として配置された可能性のある物件は最⼤ 2,422 件(うち請負金額 500 万円以上の⼯事は 150 件)とのこと。
第三者委員会による再発防止策の提言内容の概要
ア 利益相反構造を意識した実務経験要件に関するチェック体制の再構築・強化
イ 中長期的な技術者養成計画に基づく事業推進体制の構築
ウ 資格取得を過度に重視しない適切な人事制度の構築
エ コンプライアンス意識の向上と教育の徹底
オ グループ会社に対する牽制部門の強化と同部門に対する監査
カ 建設業管理部門と人事部門等の協働の仕組みの構築
※第三者委員会による再発防止策の提言内容は、建設業者様のコンプライアンス体制構築にも参考となる情報だと思いますので、ぜひご一読いただくことをお勧めいたします。
国土交通省の対応
(1)調査及び再発防止の指示等
(2)合格の取消、受検禁止措置及び監督処分等
不正の手段によって技術検定を受け合格した事実が明らかとなった合格者に対して、建設業法施行令第41条の規定に基づき、合格の取消、3年以内の期間を定めて技術検定の受検を禁止する手続きが行われる。また、今後の調査結果も踏まえて、パナソニック株式会社及びパナソニックグループ会社に対する監督処分も検討される。
第三者委員会の「調査報告書」の内容については、パナソニックのHPに掲載されていますので、そちらをご確認ください。
»パナソニック「第三者委員会からの調査報告書受領に関するお知らせ」
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