【監理技術者制度運用マニュアル】施工体制台帳の整備と施工体系図の作成
行政書士
寺嶋紫乃
行政書士法人名南経営(愛知県名古屋市)の所属行政書士。建設業者向けの研修や行政の立入検査への対応、建設業者のM&Aに伴う建設業法・建設業許可デューデリジェンスなど、建設業者のコンプライアンス指導・支援業務を得意としている。
令和2年10月の建設業法の改正に伴い「監理技術者制度運用マニュアル」も改正されました。改正された部分はもちろんのこと本マニュアルの内容を解説し、建設業法令遵守にお役立ていただきたいと思います。
1.監理技術者の役割
監理技術者は、建設工事の施工体制を的確に把握しておく必要があります。そのため、建設業法では「施工体制台帳」と「施工体系図」の作成を義務付けています。
建設業法第二十四条の八
特定建設業者は、発注者から直接建設工事を請け負つた場合において、当該建設工事を施工するために締結した下請契約の請負代金の額(当該下請契約が二以上あるときは、それらの請負代金の額の総額)が政令で定める金額以上になるときは、建設工事の適正な施工を確保するため、国土交通省令で定めるところにより、当該建設工事について、下請負人の商号又は名称、当該下請負人に係る建設工事の内容及び工期その他の国土交通省令で定める事項を記載した施工体制台帳を作成し、工事現場ごとに備え置かなければならない。
(以下、省略)
今回は、この施工体制台帳と施工体系図のルールを確認します。
2.施工体制台帳について
施工体制台帳は、発注者から直接建設工事を請け負った特定建設業者であって、下請契約の請負代金の額が4,000万円(建築一式工事の場合は6,000万円)以上となる場合に作成しなければなりません。言い換えると、現場の技術者は監理技術者を配置しなければいけないケースです。
ただし、公共工事においては下請契約の請負代金の額に関わらず、下請契約をした場合には作成義務があるので注意してください。
引用:中部地方整備局「建設業法に基づく適正な施工の確保に向けて(令和2年10月改訂)
施工体制台帳
↑ 施工体制台帳イメージはこちらを確認
引用:国土交通省HPより
3.施工体系図について
施工体系図は、施工体制台帳を作成した場合に作成します。施工体制台帳と施工体系図はセットになります。
施工体系図は、建設現場に出入りする建設業者の分担関係を明示したものになります。そのため作成した施工体系図は、現場の見やすい場所に掲示することになっています。(公共工事の場合は、現場に出入りする業者だけでなく公衆にも見やすいように掲示することが必要です。)
施工体系図
↑ 施工体系図イメージはこちらを確認
引用:国土交通省HPより
4.本日のまとめ
施工体制台帳等を作成し、監理技術者に施工体制を把握させる目的は、以下の通りです。
①品質・工程・安全などの施工上のトラブル発生の防止
②不良不適格業者の参入や建設業法違反(例えば、一括下請負等)の防止
③生産効率低下に繋がる安易な重層下請の防止
作成目的を理解し、適正な施工をしたいただきたいと思います。
行政書士法人名南経営は、建設業許可手続きだけでなく、スポットでの相談対応、従業員・協力会社向けの建設業法令研修や、模擬立入検査、コンプライアンス体制構築コンサルティングまで対応しております。MicrosoftTeamsを利用したWEB面談も可能です。お気軽にご相談ください。