建設業法令遵守ブログ

【建設業法】関連コラム

【監理技術者制度運用マニュアル】監理技術者等の職務とは

寺嶋紫乃

行政書士

寺嶋紫乃

行政書士法人名南経営(愛知県名古屋市)の所属行政書士。建設業者向けの研修や行政の立入検査への対応、建設業者のM&Aに伴う建設業法・建設業許可デューデリジェンスなど、建設業者のコンプライアンス指導・支援業務を得意としている。

令和2年10月の建設業法の改正に伴い「監理技術者制度運用マニュアル」も改正されました。改正された部分はもちろんのこと本マニュアルの内容を解説し、建設業法令遵守にお役立ていただきたいと思います。

1.建設業法上には?

建設業法第26条の4第1項において、監理技術者等の職務を規定しています。

建設業法第二十六条の四(主任技術者及び監理技術者の職務等)
主任技術者及び監理技術者は、工事現場における建設工事を適正に実施するため、当該建設工事の施工計画の作成、工程管理、品質管理その他の技術上の管理及び当該建設工事の施工に従事する者の技術上の指導監督の職務を誠実に行わなければならない。

このように建設業法では、「工事現場における建設工事の施工の技術上の管理をつかさどること」が職務である主任技術者・監理技術者の職務を、具体的に規定しています。また、主任技術者と監理技術者とで、職務に区別無く定められています。しかし、現実において両者の職務は同じではありません。例えば、「主任技術者」で考えてみます。元請業者の主任技術者と、その下請としての立場にある業者の主任技術者、どちらも主任技術者を配置しますが、職務はまったく異なるものになります。

2.元請の主任技術者と下請の主任技術者

先にも述べた通り、元請の主任技術者と下請の主任技術者とでは職務が異なります。具体的には、以下の通りです。

出典:国土交通省「監理技術者制度運用マニュアル」

元請の主任技術者・監理技術者は、工事全体を管理しなければならず、一方、下請の主任技術者は工事の一部つまり下請業者が請け負った工事部分のみ管理すればよいこととなっています。

3.工事現場の作業員が注意すべき点

主任技術者や監理技術者が、現場で1人職務をまっとうしていたとしても、他の作業員に指示が伝わっていない等、現場がうまく回っていなければ本来の職務が果たされているとは言えません。そのため、建設業法には以下の規定があります。

建設業法第二十六条の四 第二項
2 工事現場における建設工事の施工に従事する者は、主任技術者又は監理技術者がその職務として行う指導に従わなければならない。

工事現場においてその工事に従事する者は、主任技術者・監理技術者の指導には従わなければならないと、義務付けています。

4.本日のまとめ

主任技術者・監理技術者にはそれぞれ職務が明確に定められています。
そして、現場で作業する作業員は、主任技術者・監理技術者の指導に従うよう定めています。

こうして主任技術者・監理技術者は自分たちの職務をまっとうすることで、建設工事の適正な施工が確保できます。

行政書士法人名南経営は、建設業許可手続きだけでなく、スポットでの相談対応、従業員・協力会社向けの建設業法令研修や、模擬立入検査、コンプライアンス体制構築コンサルティングまで対応しております。MicrosoftTeamsを利用したWEB面談も可能です。お気軽にご相談ください。