建設業法令遵守ブログ

【建設業法】用語解説

監理技術者等を専任で設置すべき契約「工期」とは?

大野裕次郎

社員行政書士・東京事務所所長

大野裕次郎

建設業に参入する上場企業の建設業許可取得や大企業のグループ内の建設業許可維持のための顧問などの支援をしている。建設業者のコンプライアンス指導・支援業務を得意としており、建設業者の社内研修や建設業法令遵守のコンサルティングも行っている。

公共性のある施設若しくは工作物又は多数の者が利用する施設若しくは工作物に関する重要な建設工事で、工事1件の請負金額が3,500万円(建築一式工事の場合は7,000万円)以上のものについては、工事の安全かつ適正な施工を確保するため、工事現場に配置する主任技術者又は監理技術者は、専任の者でなければなりません。元請業者の監理技術者や主任技術者は、基本的には契約「工期」が専任として設置する期間となり、下請業者の主任技術者は、下請業者の「工期」が専任として設置する期間となります。
では、この「工期」とは具体的にいつからいつまでのことをいうかご存知でしょうか?

「工期」とは?

国土交通省の中央建設業審議会にて決定された「工期に関する基準」にその定義が記載されています。

「工期」とは、建設工事の着工から竣工までの期間を指す。

工期とは、建設工事の着工から竣工までの期間であり、事業化/構想、設計、入札/契約という行為は「工期」には含まれません。図で示すと次のようになります。

(出典:国土交通省「工期に関する基準」https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001357459.pdf

監理技術者等を専任で設置すべき期間は「工期」とは異なる

冒頭で、元請業者が監理技術者や主任技術者を専任で設置すべき期間は、基本的には契約「工期」とお伝えしましたが、国土交通省の「監理技術者制度運用マニュアル」では、専任で設置すべき期間は、契約工期よりも短い範囲で考えられています。

具体的には、契約工期中であっても、次に掲げる期間については工事現場への専任は必要でないとされています。

① 請負契約の締結後、現場施工に着手するまでの期間(現場事務所の設置、資機材の搬入又は仮設工事等が開始されるまでの間。)
② 工事用地等の確保が未了、自然災害の発生又は埋蔵文化財調査等により、工事を全面的に一時中止している期間
③ 橋梁、ポンプ、ゲート、エレベーター、発電機・配電盤等の電機品等の工場製作を含む工事全般について、工場製作のみが行われている期間
④ 工事完成後、検査が終了し(発注者の都合により検査が遅延した場合を除く。)、事務手続、後片付け等のみが残っている期間

図で示すと次のようになります。

(出典:国土交通省関東地方整備局「建設工事の適正な施工を確保するための建設業法」https://www.ktr.mlit.go.jp/ktr_content/content/000699485.pdf

基本的には、着工から竣工までの間は、専任で設置すべき期間となりますが、着工から竣工までの間に上記1~④の期間が含まれる場合は、専任で設置する必要がないということです。

監理技術者・主任技術者を専任で設置すべき期間と「工期」の定義について、しっかりと押させておいてください。


 

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