建設業法令遵守ブログ

【建設業法】用語解説

「指導監督的な実務の経験(指導監督的実務経験)」とは?

大野裕次郎

社員行政書士・東京事務所所長

大野裕次郎

建設業に参入する上場企業の建設業許可取得や大企業のグループ内の建設業許可維持のための顧問などの支援をしている。建設業者のコンプライアンス指導・支援業務を得意としており、建設業者の社内研修や建設業法令遵守のコンサルティングも行っている。

「指導監督的な実務の経験」とは、特定建設業許可の営業所の専任技術者や、現場の監理技術者になるための資格の1つです。まず、特定建設業許可の専任技術者、監理技術者の資格要件を見ていきましょう。

特定建設業許可の専任技術者、監理技術者の資格要件

特定建設業許可の専任技術者と監理技術者の資格要件は同じです。こちらの記事でも解説をしております。

  1. 国家資格者 https://www.mlit.go.jp/common/001372890.pdf
  2. 指導監督的実務経験を有する者
    一般建設業許可の専任技術者要件を満たしている者で、かつ、許可を受けようとする建設業に関して、発注者から直接請け負い、その請負代金の額が4,500万円以上であるものについて2年以上指導監督的な実務経験を有する者
    ※指定建設業の許可(土木工事業、建築工事業、電気工事業、管工事業、鋼構造物工事業、舗装工事業、造園工事業)を受けようとする場合は、この2の要件に該当しても許可は取得できません。
  3. 大臣特別認定者:建設省告示第128号(平成元年1月30日)の対象者

2.指導監督的実務経験を有する者、という要件に「指導監督的実務経験」という用語が出てきます。では、この指導監督的な実務の経験とは具体的に何を指すのでしょうか?

指導監督的な実務の経験とは?

国土交通省の建設業許可事務ガイドラインでは、次のとおり定義されています。

① 「指導監督的な実務の経験」とは、建設工事の設計又は施工の全般について、工事現場主任者又は工事現場監督者のような立場で工事の技術面を総合的に指導監督した経験をいう。
② 指導監督的な実務の経験については、許可を受けようとする建設業に係る建設工事で、発注者から直接請け負い、その請負代金の額が4,500万円以上であるものに関し、2年以上の指導監督的な実務の経験が必要であるが、昭和59年10月1日前に請負代金の額が1,500万円以上4,500万円未満の建設工事に関して積まれた実務の経験及び昭和59年10月1日以降平成6年12月28日前に請負代金の額が3,000万円以上4,500万円未満の建設工事に関して積まれた実務の経験は、4,500万円以上の建設工事に関する実務の経験とみなして、当該2年以上の期間に算入することができる。

つまり、「指導監督的な実務の経験」とは、「建設工事の設計又は施工の全般について、工事現場主任者又は工事現場監督者のような立場で工事の技術面を総合的に指導監督した経験」ということです。工事現場主任者又は工事現場監督者のような立場での指導監督経験となりますので、土工及びその見習いに従事した経験等は含まれません。

指導監督的な実務の経験を証明する方法

特定建設業許可の専任技術者になる場合は、建設業許可申請書や変更届出書を提出することになりますが、添付書類の「指導監督的実務経験証明書」という書類で経験を証明することになります。許可行政庁によって違いはあると思いますが、基本的に確認資料として、建設工事請負契約書や注文書・請書が必要となります。
監理技術者になるためには、「監理技術者資格者証」を取得することになりますが、一般財団法人建設業技術者センターに対して申請をして取得することになります。申請の際、「監理技術者実務経験証明書」という書類で経験を証明することになります。建設工事請負契約書や注文書・請書の提出は求められていませんが、場合によっては、建設工事請負契約書、工事経歴書、施工体系図、コリンズ工事カルテ等の書類が求められることがあります。
監理技術者資格者証の申請手続きの詳細は建設業技術者センターのホームページをご確認ください。https://www.cezaidan.or.jp/index.html

●監理技術者資格者証の見本
出典:一般財団法人建設業技術者センター

建設業許可の専任技術者における指導監督的実務経験の証明などでお困りの方は、行政書士法人名南経営までお気軽にご連絡ください。