建設業法令遵守ブログ

【建設業法】用語解説

専任技術者の役割とは

大野裕次郎

社員行政書士・東京事務所所長

大野裕次郎

建設業に参入する上場企業の建設業許可取得や大企業のグループ内の建設業許可維持のための顧問などの支援をしている。建設業者のコンプライアンス指導・支援業務を得意としており、建設業者の社内研修や建設業法令遵守のコンサルティングも行っている。

建設業許可の要件の一つとして、営業所ごとに専任技術者を置くことが求められていますが、「専任技術者の役割は何か?」というお問い合わせをいただくことがあります。専任技術者の役割について解説をしていきたいと思います。

専任技術者の役割

専任技術者が営業所ごとに設置が求められているのは、営業所の建設業許可業種ごとの技術力を確保することが目的となっています。
営業所においては、請け負った建設工事の工法の検討や注文者への技術的な説明、建設工事の見積、入札、請負契約の締結等が適正に行われるよう技術的なサポートをし、工事現場に出る技術者に対しては、建設工事の施工が適正に行われるよう指導監督をすることが専任技術者の役割です。

専任技術者の資格要件

専任技術者は、上記のような役割を果たすために、一定の資格や経験を有する者でなければならないとされています。この資格要件は、一般建設業許可と特定建設業許可で異なり、また建設業許可の業種ごとにも異なります。それぞれ主な資格要件を見ていきたいと思います。

一般建設業許可の場合
[1]指定学科修了者で高卒後5年以上若しくは大卒後3年以上の実務の経験を有する者
許可を受けようとする建設業に係る建設工事に関して、高校卒業後5年以上若しくは大学卒業後3年以上の実務経験を有し、かつ、それぞれ在学中に許可を受けようとする建設業に係る建設工事ごとに指定された学科(指定学科)を修めている者
[2]許可を受けようとする建設業に係る建設工事に関して、10年以上実務の経験を有する者
[3]国家資格者

特定建設業許可の場合
[1]国家資格者
[2]指導監督的実務経験を有する者
上記の【一般建設業許可の場合】の専任技術者要件を満たしている者で、かつ、許可を受けようとする建設業に関して、発注者から直接請け負い、その請負代金の額が4,500万円以上であるものについて2年以上指導監督的な実務経験を有する者
※「指導監督的実務経験」とは、建設工事の設計、施工の全般にわたって工事現場主任や現場監督者のような資格で工事の技術面を総合的に指導監督した経験をいいます。
※指定建設業の許可(土木工事業、建築工事業、電気工事業、管工事業、鋼構造物工事業、舗装工事業、造園工事業)を受けようとする場合は、この[2]の要件に該当しても許可は取得できません。
[3]大臣特別認定者:建設省告示第128号(平成元年1月30日)の対象者

専任とは

専任とは、その営業所に常勤してもっぱらその職務に従事することをいいます。通常の勤務時間中は、その営業所に勤務できることが必要ということです。専任技術者の住所とその営業所の所在地とが著しく離れていて通勤不可能な距離にある場合や、他の法令により専任が必要とされている者(例えば、専任の宅地建物取引士や管理建築士である者)が別の営業所等で専任技術者と兼ねる場合は、原則として専任とは認められませんので注意が必要です。

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