建設業法令遵守ブログ

【建設業法】関連コラム

【工期に関する基準】運用において考慮すべきその他の事項

寺嶋紫乃

行政書士

寺嶋紫乃

行政書士法人名南経営(愛知県名古屋市)の所属行政書士。建設業者向けの研修や行政の立入検査への対応、建設業者のM&Aに伴う建設業法・建設業許可デューデリジェンスなど、建設業者のコンプライアンス指導・支援業務を得意としている。

令和2年7月、中央建設業審議会において作成された「工期に関する基準」を数回に分けて詳しく見てきましたが、今回が最終回です。

1.著しく短い工期と疑われる場合の対応

最後に、工期に関する基準を運用するうえで考慮すべき事項を見ておきます。
まず、著しく短い工期ではないかと疑義がある場合です。
著しく短い工期の設定は建設業法違反となります。そのため、著しく短い工期の設定疑義がある行為は法令違反行為の疑義を受け付ける「駆け込みホットライン」に情報を提供します。
その結果、著しく短い工期による請負契約の締結と判断された場合には、許可行政庁は発注者に対して「勧告」を行うことができます。さらに、その勧告に従わない発注者は、その旨を公表されることになります。

2.新型コロナウイルス感染症対策を踏まえた工期等の設定

新型コロナウイルスが工事現場で感染拡大しないよう、「三つの密」を回避する対策の徹底のためのガイドラインが、国土交通省で作成されています。三つの密を避けるためには、工事現場に立ち入る人数を制限することが必要になり、また現場の事務所には体温計や消毒液を購入したりと経費が増加することが考えられます。
経費の増加等は想定外の事情によるものなので、適宜、金額や工期等の変更契約書を締結することが必要になります。特に工期の延長のための変更契約を締結する場合には、十分な工期の設定をしなければいけないことを忘れないようにします。

3.基準の見直し

この後期に関する基準は、今後の運用状況を踏まえて適宜、見直し等の措置を講じていくべきものです。長時間労働の是正に繋がらない、生産性向上に繋がらない、新型コロナウイルスの感染拡大が収まらない等、本来の目的を達成できるような基準にしていくことが必要です。
現在の基準がすべて正しいというものではなく、今後、様々なことを盛り込んでより良い基準となるようにしていかなければなりません。

行政書士法人名南経営は、建設業許可手続きだけでなく、スポットでの相談対応、従業員・協力会社向けの建設業法令研修や、模擬立入検査、コンプライアンス体制構築コンサルティングまで対応しております。MicrosoftTeamsを利用したWEB面談も可能です。お気軽にご相談ください。