建設業法令遵守ブログ

処分事例

なぜその会社は処分の対象となったのか?現場技術者の配置による処分事例Part1の解説

寺嶋紫乃

行政書士

寺嶋紫乃

行政書士法人名南経営(愛知県名古屋市)の所属行政書士。建設業者向けの研修や行政の立入検査への対応、建設業者のM&Aに伴う建設業法・建設業許可デューデリジェンスなど、建設業者のコンプライアンス指導・支援業務を得意としている。

現場に配置する技術者に関して、建設業法ではいくつかのルールが定められています。
また、昨今では技術者に関する違反行為や処分をよく目にします。今回はその1つの事例を取り上げてみます。

<M社の事例>

建設業法では、建設業者は請負った建設工事の現場に「配置技術者」を置かなければならないと定められていることは、前回のブログでもお伝えしましたが、単に配置すればよいという訳ではなく、配置そのものについてもルールが定められています。

建設業法第26条第3項
 公共性のある施設若しくは工作物又は多数の者が利用する施設若しくは工作物に関する重要な建設工事で政令で定めるものについては、前二項の規定により置かなければならない主任技術者又は監理技術者は、工事現場ごとに、専任の者でなければならない。

つまり技術者の「専任配置」が規定されています。
対象となる工事は、「公共性のある施設若しくは工作物又は多数の者が利用する施設若しくは工作物に関する重要な建設工事」とあり、多くの建設工事が該当します。「公共」という言葉に引っ張られて公共工事だけが専任配置の対象と誤った認識をしている建設業者もいますが、民間工事も対象になります。該当しない例として挙げられるのは、個人住宅のみとなります。

上記の工事に加えて「政令で定めるもの」が対象となります。建設業法施行令において、一定の金額以上の工事が該当します。

建設業法施行令第27条(専任の主任技術者又は監理技術者を必要とする建設工事)
法第二十六条第三項の政令で定める重要な建設工事は、次の各号のいずれかに該当する建設工事で工事一件の請負代金の額が四千五百万円(当該建設工事が建築一式工事である場合にあつては、九千万円)以上のものとする。
(以下、省略)

「請負代金の額」が税込4,500円以上(建築一式工事は税込9,000万円以上)となると、その工事の専任技術者は専任配置が求められることになります。
ここで注意いただきたいのは、税込金額で判断することと、元請・下請の立場が関係ないということです。「請負代金の額」で判断をするだけなので、自分たちが請け負った立場は関係ないということです。立場が関係ない、という点を見落としている下請業者が多くいると感じています。

今回の事例を見てみましょう。
専任が求められる技術者に他の工事現場で兼務をさせていました。兼務とは言葉のとおり、いくつもの現場をかけ持つことです。一方、専任とは、他の⼯事現場に係る職務を兼務せず、常時継続的に専任配置された⼯事現場に係る職務にのみ従事していることです。たとえ1件が数百万の小さな工事であっても、1日で完工する工事であっても、専任配置が必要な技術者は他の現場をかけ持つことはできません。
「専任」という言葉と混同しやすいのが「常駐」という言葉です。常駐は、配置された現場にずっと居ることであって、専任とは全く異なります。専任配置された技術者は、求められる工事に常駐することは要求されていませんので、その点は混同しないようにしてください。

補足として、専任で配置しなければならない期間は元請・下請では少し異なります。
元請の場合は、専任配置された工事全体の着工から完工までの間(いわゆる契約工期)であり、下請の場合は、自分たちが請け負った工事の着工から完工までとなるため、必然的に元請の方が専任配置期間は長くなります。

目次
  1. まとめ

まとめ

主任技術者や監理技術者を現場に配置する際には、専任配置が必要な工事であるかを確認し適切な技術者の配置をするようにしてください。
また、元請として現場に入る際には下請業者の配置も適切であるかを確認していただくと良いと思います。

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