令和8年1月1日施行 改正行政書士法について解説
谷澤 萌花
行政書士法人名南経営(愛知県名古屋市)の所属行政書士。建設業許可をはじめとする各種許認可手続きを担当。建設業許可や経営事項審査の手続き担当先は100社超。許認可手続きだけでなく、外部セミナーや建設業者での研修講師など、建設業者のコンプライアンス指導・支援業務にも携わっている。
令和8年1月1日に施行された改正行政書士法により行政書士の業務範囲の明確化や両罰規定の強化がされ、様々な業界に影響を与えています。
今回行政書士法が改正された背景には無資格者による違法な代理申請の問題があり、行政書士の独占業務を無資格者が取り扱うことを防止する観点を中心に見直しが行われています。
行政書士とは
行政書士とは行政書士法に基づく国家資格者で、営業許可や権利義務等に関する書類の作成や、作成する書類に関する相談対応などを行います。
行政書士ではない者が上記の独占業務を行うことは行政書士法違反となり、罰則が科せられる可能性があります。
行政書士法改正の概要
令和8年1月1日施行の行政書士法の改正内容は以下の5つです。
①使命の明確化
②職責の新設・デジタル対応
③特定行政書士の業務範囲の拡大
④業務制限規定の明確化
⑤両罰規定の強化
この中でも、特に事業者に関わる④と⑤について詳しく解説していきます。
業務制限規定の明確化
行政書士法第19条第1項の行政書士又は行政書士法人でない者による業務の制限規定に、
「他人の依頼を受けいかなる名目によるかを問わず報酬を得て」との文言が加えられました。
(業務の制限)
第十九条 行政書士又は行政書士法人でない者は、他人の依頼を受けいかなる名目によるかを問わず報酬を得て、
業として第一条の三に規定する業務を行うことができない。(後略)
例えば行政書士以外の者が「手数料」「会費」「コンサルタント料」という報酬を受け取っていた場合、報酬の名目が書類作成業務ではなかったとしても実質的に行政書士の独占業務を行い報酬を得ていた場合は行政書士法違反となります。
つまり書類作成料を無償としていても、別の名目で料金を受け取っていれば行政書士法違反に該当しますのでご注意ください。
この取り扱いは新設されたものではなく、当初から違法とされていた行為が改めて法律に明記されました。
例えば建設業者の中には電気工事業を営んでいる方がいると思いますが、高圧変電設備や蓄電池設備等を設置する際の消防署への届出は行政書士の業務です。
したがって、電気設備の所有者や管理者に代わって電気工事業者が電気設備設置の届出書類を作成し提出することは行政書士法違反となります。
今回の改正を機に、業務に伴い行政書士の独占業務を自社で取り扱ってしまっていることがないか改めてご確認ください。
両罰規定の強化
行政書士法第23条の3に、行政書士又は行政書士法人でない者による法第19条第1項の業務の制限違反に対する罰則が追加されました。
これにより行政書士法に違反した行為者が罰せられることはもちろん、その者が所属する法人に対しても100万円以下の罰金刑が科せられることとなりました。
第二十三条の三
法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、第二十一条の二、第二十二条の四、第二十三条第二項又は前条の違反行為をしたときは、その行為者を罰するほか、その法人又は人に対して各本条の罰金刑を科する。
個人だけでなく法人にも罰則が科せられるようになったことで、違法に行政書士業務を取り扱っている法人の責任が大きく問われるようになっています。
各事業の取扱業務に関して、個人単位だけではなく会社全体で見直しと適正化を図ることが重要です。
まとめ
行政書士法の改正内容は行政書士だけでなく様々な業界の事業に関係する内容です。
長年の慣習で書類作成や申請の代理業務を受託している会社は、行政書士に手続きを依頼するようにしてください。
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