建設業法令遵守ブログ

【建設業法】関連コラム

建設業法第42条と独占禁止法の関係について解説

寺嶋紫乃

行政書士

寺嶋紫乃

行政書士法人名南経営(愛知県名古屋市)の所属行政書士。建設業者向けの研修や行政の立入検査への対応、建設業者のM&Aに伴う建設業法・建設業許可デューデリジェンスなど、建設業者のコンプライアンス指導・支援業務を得意としている。

建設業法第42条は公正取引委員会への措置請求等について規定された条文になります。では、建設業法第42条と公正取引委員会に関する法律である独占禁止法との関係性はどうなっているのかを見ていきたいと思います。

建設業法第42条について

建設業法第42条は次の条文となります。

建設業法第42条(公正取引委員会への措置請求等)
国土交通大臣又は都道府県知事は、その許可を受けた建設業者が第十九条の三、第十九条の四、第二十四条の三第一項、第二十四条の四、第二十四条の五又は第二十四条の六第三項若しくは第四項の規定に違反している事実があり、その事実が私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律第十九条の規定に違反していると認めるときは、公正取引委員会に対し、同法の規定に従い適当な措置をとるべきことを求めることができる。
2 国土交通大臣又は都道府県知事は、中小企業者(中小企業基本法(昭和三十八年法律第百五十四号)第二条第一項に規定する中小企業者をいう。次条において同じ。)である下請負人と下請契約を締結した元請負人について、前項の規定により措置をとるべきことを求めたときは、遅滞なく、中小企業庁長官にその旨を通知しなければならない。

まとめると、国土交通大臣または都道県知事は、建設業者が次の➀~⑤の規定いずれかに違反している事実があり、その事実が独占禁止法の第19条に違反している場合には、公正取引委員会に措置請求ができるという規定です。
 ①不当に低い請負代金の禁止(建設業法第19条の3)
 ②不当な使用資材等の購入共生の禁止(建設業法第19条の4)
 ③下請代金の支払い(建設業法第24条の3第1項)
 ④検査及び引渡し(建設業法第24条の4)
 ⑤特定建設業者の支払代金の支払期日等(建設業法第24条の6第3項、第4項)

独占禁止法とは

独占禁止法の正式な名称は「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律」といいます。この法律は、公正かつ自由な競争を促進し,事業者が自主的な判断で自由に活動できるようにするために、企業が守らなければならないルールを定めています。
企業が守らなければならないルールは次の7つです。
 1.私的独占の禁止
 2.不当な取引制限(カルテル、入札談合等)の禁止
 3.事業者団体の規制
 4.企業結合の規制
 5.独占的状態の規制
 6.不公正な取引方法の禁止
 7.下請法に基づく規制
ここでは詳しくは取り上げませんので、各ルールの詳細は公正取引委員会のHPをご確認ください。
これらのルールが守られることで、企業同士が競争し合い、私たち一消費者はより安い商品を選ぶことができ、また、より良い商品を選ぶことができます。

建設業と独占禁止法の関係

建設業法第42条の「独占禁止法第19条に違反している」とは、事業者が不公正な取引方法を用いてはならないという規定に違反していることです。上記の➀~⑤に違反する行為は、いずれも元請業者が下請業者に対し、元請という立場を使い下請業者に不利となることを押し付けることになります。これでは、元請業者と下請業者が対等な立場で取引を行っているとは言えず、不公正な取引が行われていると判断される可能性があります。
上記の①~⑤に違反する行為は、いずれも建設業法違反もしくは建設業法違反となる可能性がある行為のため建設業法でルールが定められていますが、建設業法だけでなく独占禁止法でも規制・禁止されている行為のため、違反することが無いようにしなければなりません。

まとめ

建設業に関するルールとして建設業法の遵守に取り組んでいる建設業者は多いと思いますが、建設業法だけでなく、関連する法律は他にもあるので注意しましょう。

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