建設業法令遵守ブログ

【建設業法】関連コラム

建設業法違反の通報窓口

大野裕次郎

社員行政書士・東京事務所所長

大野裕次郎

建設業に参入する上場企業の建設業許可取得や大企業のグループ内の建設業許可維持のための顧問などの支援をしている。建設業者のコンプライアンス指導・支援業務を得意としており、建設業者の社内研修や建設業法令遵守のコンサルティングも行っている。

発注者の立場で、建設業者が建設業法違反をしていることを知った場合や、建設業者の立場で、元請業者や同業他社が建設業法違反をしていることを知った場合に、どのように対応したらよいでしょうか。 実は、国土交通省や各都道府県には、建設業法に違反している建設業者の情報を通報する窓口が設置されています。今回の記事では、このような建設業法違反の通報窓口について解説いたします。

1.駆け込みホットラインとは? 

駆け込みホットラインとは、国土交通省建設業法令遵守推進本部に設置されている建設業法違反の通報窓口です。 

通報の対象 

駆け込みホットラインでの通報の対象は、主に国土交通大臣許可業者です。 

通報の仕方 

全国共通の電話番号が用意されており、駆け込みホットラインに電話をすると、通報者の最寄りの地方整備局等の建設業法令遵守推進本部に繋がるようになっています。 

駆け込みホットラインに通報する場合には、次の項目をできる限り明らかにすることが望まれています。 

  1. 通報者の情報
    氏名、住所、電話番号、e-mail
  2. 違反の疑いがある行為者の情報
    会社名、代表者名、所在地、建設業許可番号、電話番号、その他
  3. 違反の疑いがある行為
    だれが、いつ、どこで、だれに対して、いかなる方法で、何をしたか、その他

なお、通報者は匿名でも通報が可能で、通報者に対して不利益が生じないように情報が取り扱われます。 

2.各都道府県の違反通報窓口とは? 

各都道府県にも建設業法違反の通報窓口が設置されています。
ここでは例として、「鹿児島県建設業法ホットライン」(https://www.pref.kagoshima.jp/ah01/infra/tochi-kensetu/kensetu/hotline.html)を取り上げます。 仔細は、都道府県ごとに異なりますが、概ね同様とお考えください。 

通報の対象 

鹿児島県建設業法ホットラインの通報の対象は、鹿児島県知事許可業者です。 

通報の仕方 

鹿児島県建設業法ホットラインでは、通報にあたり、建設業法違反が疑われる建設業者からの事情聴取等を行うかどうかの判断ができる事項について報告をする必要があります。駆け込みホットラインとは異なり、原則として通報者が氏名・連絡先を明らかにし、かつ、違反に係る具体的事実(だれが、いつ、どこで、どのような行為を行ったか)を提示した場合にのみ通報を受け付けています。 

各都道府県の違反通報窓口については、下表をご参照ください。 

●都道府県知事許可に関するお問い合わせ先

都道府県名  主管課  電話番号  都道府県名  主管課  電話番号 
北海道  建設部建設政策局建設管理課  011(231)4111  滋賀県  土木交通部監理課  077(528)4114 
青森県  県土整備部監理課  017(722)1111  京都府  建設交通部指導検査課  075(451)8111 
岩手県  県土整備部建設技術振興課  019(651)3111  大阪府  住宅まちづくり部建築振興課  06(6210)9735 
宮城県  土木部事業管理課  022(211)3116  兵庫県  県土整備部県土企画局総務課建設業室  078(341)7711 
秋田県  建設部建設政策課  018(860)2425  奈良県  県土マネジメント部建設業・契約管理課  0742(22)1101 
山形県  県土整備部建設企画課  023(630)2658  和歌山県  県土整備部県土整備政策局技術調査課  073(432)4111 
福島県  土木部技術管理課建設産業室  024(521)7452  鳥取県  県土整備部県土総務課  0857(26)7347 
茨城県  土木部監理課  029(301)1111  島根県  土木部土木総務課建設産業対策室  0852(22)5185 
栃木県  県土整備部監理課  028(623)2390  岡山県  土木部監理課建設業班  086(226)7463 
群馬県  県土整備部建設企画課  027(223)1111  広島県  土木建築局建設産業課建設業グループ  082(228)2111 
埼玉県  県土整備部建設管理課  048(824)2111  山口県  土木建築部監理課建設業班  083(933)3629 
千葉県  県土整備部建設・不動産業課建設業班  043(223)3110  徳島県  県土整備部建設管理課  088(621)2519 
東京都  都市整備局市街地建築部建設業課  03(5321)1111  香川県  土木部土木監理課契約・建設業グループ  087(831)1111 
神奈川県  県土整備局事業管理部建設業課  045(313)0722  愛媛県  土木部土木管理局土木管理課  089(941)2111 
新潟県  土木部監理課建設業室  025(285)5511  高知県  土木部土木政策課  088(823)1111 
山梨県  県土整備部県土整備総務課建設業対策室  055(237)1111  福岡県  建築都市部建築指導課  092(651)1111 
長野県  建設部建設政策課建設業係  026(232)0111  佐賀県  県土整備部建設・技術課  0952(25)7153 
富山県  土木部建設技術企画課  076(431)4111  長崎県  土木部監理課  095(894)3015 
石川県  土木部監理課建設業振興グループ  076(225)1111  熊本県  土木部監理課  096(333)2485 
岐阜県  県土整備部技術検査課  058(272)1111  大分県  土木建築部土木建築企画課  097(536)1111 
静岡県  交通基盤部建設業課  054(221)3058  宮崎県  県土整備部管理課  0985(26)7176 
愛知県  都市整備局都市基盤部都市総務課  052(954)6502  鹿児島県  土木部監理課  099(286)2111 
三重県  県土整備部建設業課  059(224)2660  沖縄県  土木建築部技術・建設業課  098(866)2374 
福井県  土木部土木管理課  0776(21)1111       

3.通報窓口で受け付けている法令違反事例 

駆け込みホットラインでも、各都道府県の違反通報窓口でも、次のような法令違反の事例について通報を受け付けています。 

  • 契約書を作成せず、口頭契約となっている。
  • 追加工事が発生したが、変更契約書を締結してくれない。
  • 建設廃棄物の処理費用を一方的に差引かれた
  • 120日を超える割引困難な長期手形で下請代金が支払われた。
  • 見積書に記載した布袋福利費を一方的に削除された。
  • 著しく短い工期で契約を締結させられた。
  • 一括下請負が行われている。
  • 工事現場に監理技術者・主任技術者が配置されていない。 等 

このような通報を受け、法令違反の疑いがある建設業者には、必要に応じて地方整備局や各都道府県による立入検査が実施されることとなります。 

4.まとめ 

  • 国土交通省や各都道府県には、建設業法に違反している建設業者の情報を通報する窓口が設置されている
  • 国土交通大臣許可業者の通報窓口は、「駆け込みホットライン」
  • 都道府県知事許可業者の通報窓口は、各都道府県の違反通報窓口(例:「鹿児島県建設業法ホットライン」)
  • 駆け込みホットラインや各都道府県の違反通報窓口に通報された建設業者は、法令違反の疑いがある場合、必要に応じて立入検査が実施されることになる 
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