建設業法令遵守ブログ

【建設業法】関連コラム

なぜその会社は営業取消となったのか?許可要件の欠如による処分事例の解説

寺嶋紫乃

行政書士

寺嶋紫乃

行政書士法人名南経営(愛知県名古屋市)の所属行政書士。建設業者向けの研修や行政の立入検査への対応、建設業者のM&Aに伴う建設業法・建設業許可デューデリジェンスなど、建設業者のコンプライアンス指導・支援業務を得意としている。

<S社の事例>

建設業許可の要件はいくつかありますが、そのうちの一つに「営業所ごとに一定の資格もしくは経験等を有する専任の技術者がいること」つまり営業所ごとに営業所技術者または特定営業所技術者(以下、「営業所技術者等」といいます。)を置くという人の要件があります。今回の事例は、この要件に関する違反となります。

<建設業許可の要件>
1.適正な経営体制を有し、適切な社会保険に加入していること
2.営業所技術者等がいること
3.不正または不誠実な行為をするおそれがないこと
4.財産的基礎又は金銭的信用を有していること
5.欠格要件に該当しないこと
6.営業所の実態があること

建設業者であればご存知のことと思いますが、改めて建設業許可の要件について少し触れておきます。
建設業許可の要件は、許可を取得する時だけ満たしていれば良いというものではありません。財産的基礎の要件は別として、それ以外の要件は、建設業許可を持っている間はずっと満たしておく必要があります。言い換えれば、要件を1つでも欠いた場合は、許可を維持できないことになります。宅地建物取引業免許等では、要件を欠いた場合2週間以内に補填すれば免許を維持できるというルールもありますが、建設業許可ではそのような措置はありません。1日でも要件を欠いた場合には、今回の事例のように猶予なく許可が無くなるということです。

今回の事例では、営業所技術者等に必要な資格や経験については問題となっていません。ポイントは営業所技術者等が「専任」であるかということにあります。
今回の処分の原因を確認すると、営業所技術者等が
(1)他社に所属していること
(2)営業所に常勤していなかったこと
(3)専ら職務に従事していなかったこと

という3つの原因があるように見えます。

建設業許可では、「専任」とは所属する営業所に常勤であることと専らその職務に従事することとしています。原因の(2)と(3)によって、営業所技術者等が専任で無かったということになり、建設業許可の要件を満たしていないということになります。
一方、原因の(1)については、これだけで必ずしも違法という訳ではありません。 他社に所属をしていても、例えば出向社員というケースが考えられます。営業所技術者等は所属する営業所に専任で勤務していれば、他社に在籍する出向社員(在籍出向社員)であっても営業所技術者になることができるということです。
営業所技術者等については、保有資格や経験年数ばかりを気にしてしまいがちですが、それだけではなく専任性が求められていることを見落とさないようにしてください。

<まとめ>
建設業許可の要件は取得しようとする際や取得する際には要件を理解し、意識して要件をクリアしますが、取得をするとそれらが抜けてしまうケースを見かけることがあります。許可を取ったら終わりではないので、改めて建設業許可の要件を確認し、特に人の要件を欠かないよう人材確保・人員配置に努めるようにしましょう。

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