建設業法令遵守ブログ

【建設業法】関連コラム

現場任せにしてはいけない技術者配置のリスクとは? 監理技術者・主任技術者を正しく理解するための社内研修例

片岡詩織

行政書士

片岡詩織

行政書士法人名南経営(愛知県名古屋市)の所属行政書士。建設業許可をはじめとする各種許認可手続きを担当し、担当件数は年間200件を超える。建設業者向けの研修や建設業者のM&Aに伴う建設業法・建設業許可のデューデリジェンスなど、建設業者のコンプライアンス指導・支援業務にも携わっている。

工事の実施時における監理技術者・主任技術者の配置は建設業法上の重要な課題です。十分に理解しないままでの「現場任せ」は、監理技術者・主任技術者の不設置や専任義務違反等の重大な建設業法違反に繋がるケースも多く、監督処分の対象となる危険性があります。
今回は、現場任せによって生じやすい建設業法違反の事例と、工事担当者や管理部門向けの研修のカリキュラム例を紹介します。

監理技術者・主任技術者を適切に配置していないと監督処分の対象になる

建設業法において、建設工事を施工する場合には、監理技術者や主任技術者の配置が義務付けられています。
◆監理技術者・主任技術者の違い
主任技術者 請負代金の大小、 元請・下請にかかわらず配置する
監理技術者 発注者から直接工事を請け負った場合(元請)で、一次下請への発注総額が5,000万円※以上となるときに主任技術者に代えて配置する

建設業法では、工事の業種ごとに求められる資格が異なるため、単に資格保有者を配置すればよいというものではありません。また工事の規模によっては、監理技術者等の専任配置が求められ、他の工事現場を兼務することが出来なくなります。必ず「どのような資格・経験を有した者」を「どのように配置するのか」を工事ごとに判断する必要があります。

万が一、監理技術者等を適切に配置していなかった場合には、指示処分や営業停止処分が科せられ、建設業の営業が一時的に停止したり、法令違反が公となることで企業の信用度が著しく低下し、取引先や関係者との信頼関係が損なわれる危険性も高まります。

監理技術者等について詳しくは、「建設業法における監理技術者とは?資格や必要となる工事について解説」(https://gyousei-meinan.com/blog/5747/)をご確認ください。

「現場任せ」で起こりやすい配置技術者に関する建設業法違反3選

技術者配置に関する明確な社内ルールが整備されないまま現場任せにしてしまうと、知らず知らずのうちに建設業法違反を犯してしまっていた、ということになりかねません。

監理技術者・主任技術者の設置が必要な工事を正しく理解していないケース

元請/下請や請負金額によって、監理技術者等の配置義務が変わります。これを誤認し、工事を施工してしまうと「500万円未満の軽微な建設工事には主任技術者を配置していなかった」「監理技術者を配置すべき工事に、主任技術者を配置していた」というような建設業法違反が起こる可能性が考えられます。監理技術者等を適切に配置していなかった場合には、15日以上の営業停止処分の対象となります。

監理技術者・主任技術者に求められる資格・経験を認識していないケース

監理技術者等は誰でもなれるわけではなく、その工事の業種ごとに求められる資格や経験が異なります。技術者を適法に配置するためには、適切な業種判断と、従業員の保有資格や実務経験をしっかりと管理し、誰がどの業種の監理技術者等になることが出来るのかを従業員自身と会社双方が把握しておくことが大切です。。
特に近年では、実務経験の不足による技術検定の不正受験なども増えており、立入検査等の場合には、許可行政庁による厳しい確認が行われることも考えられます。不正に資格又は監理技術者資格者証を取得した者を監理技術者等として配置した場合には、30日以上の営業停止処分の対象となります。

専任が求められる工事現場を認識していないケース

一定の規模以上の工事では、元請・下請に関わらず、監理技術者・主任技術者の「専任配置」が求められます。しかし実際には、専任が必要な工事に配置された技術者が、他の工事の監理技術者・主任技術者や作業員を兼務していた、という建設業法違反が多く発生しています。このような場合、指示処分等の対象となります。

研修のカリキュラム例

監理技術者等の配置に関する建設業法違反を防ぐためには、工事担当者だけでなく営業や管理部門を含めた会社全体の共通理解が欠かせません。そこで、社内研修では以下のようなテーマを体系的に扱うことが効果的です。

監理技術者・主任技術者の設置ルールの整理

まずは元請負人・下請負人の区分、請負金額の基準、特定建設業と一般建設業の違いなど、技術者配置の前提となる基本的な法令ルールを整理します。これにより、どの工事でどの技術者が必要か判断できる基礎知識を習得します。

監理技術者・主任技術者になるための要件

監理技術者等になるための資格要件・実務経験の条件について解説します。また工事の業種によって求められる資格や経験が異なるため、必要に応じて会社で実施している工事の業種判断の方法なども併せて研修に盛り込むと効果的です。

専任が求められる工事現場と特例制度の確認

専任配置が必要な工事の具体例を示し、兼務が認められる場合との区別を明確にします。また令和6年12月には、専任特例1号という、専任が必要な工事に配置された監理技術者等の兼務が認められる特例制度も拡充されました。特例制度の内容をしっかりと理解することで効率的な現場管理の実施も可能になります。

監理技術者等の配置に関する研修を行うメリット

このような研修を実施することで、技術者に関する誤解や判断ミスを未然に防止できます。結果として、法令遵守が強化され、監督処分や行政指導のリスクが低減します。
さらに、研修を通じて技術者の育成計画を立てやすくなり、将来的な人員不足や配置ミスのリスクにも対応可能です。

まとめ

監理技術者等の配置は建設業法における重要なコンプライアンス事項であり、適正な施工を確保するためにも、適切な資格や経験を有した技術者の配置が求められます。業種別の資格要件や専任配置のルールを正しく理解し、現場任せにしない体制づくりが不可欠です。

是非、行政書士法人名南経営の建設業法コンプライアンス研修(https://gyousei-meinan.com/kyoninka/kensyu/)をご検討ください。

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