建設業法第24条の7「施工体制台帳及び施工体系図の作成等」解説
行政書士
寺嶋紫乃
行政書士法人名南経営(愛知県名古屋市)の所属行政書士。建設業者向けの研修や行政の立入検査への対応、建設業者のM&Aに伴う建設業法・建設業許可デューデリジェンスなど、建設業者のコンプライアンス指導・支援業務を得意としている。
条文の確認
(施工体制台帳及び施工体系図の作成等)
第二十四条の七 特定建設業者は、発注者から直接建設工事を請け負つた場合において、当該建設工事を施工するために締結した下請契約の請負代金の額(当該下請契約が二以上あるときは、それらの請負代金の額の総額)が政令で定める金額以上になるときは、建設工事の適正な施工を確保するため、国土交通省令で定めるところにより、当該建設工事について、下請負人の商号又は名称、当該下請負人に係る建設工事の内容及び工期その他の国土交通省令で定める事項を記載した施工体制台帳を作成し、工事現場ごとに備え置かなければならない。
2 前項の建設工事の下請負人は、その請け負つた建設工事を他の建設業を営む者に請け負わせたときは、国土交通省令で定めるところにより、同項の特定建設業者に対して、当該他の建設業を営む者の商号又は名称、当該者の請け負つた建設工事の内容及び工期その他の国土交通省令で定める事項を通知しなければならない。
3 第一項の特定建設業者は、同項の発注者から請求があつたときは、同項の規定により備え置かれた施工体制台帳を、その発注者の閲覧に供しなければならない。
4 第一項の特定建設業者は、国土交通省令で定めるところにより、当該建設工事における各下請負人の施工の分担関係を表示した施工体系図を作成し、これを当該工事現場の見やすい場所に掲げなければならない.
施工体制台帳とは
施工体制台帳とは、工事に関する情報(工事名、工事の内容、工期等)や現場に入る元請負人は当然、一次下請負人だけでなく二次、三次…すべての下請負人の情報(名称や許可業種等)が記載された台帳です。下請負人ごとにまとめられ、工事施工の分担が明らかになるようにして作成されます。
施工体制台帳は、作成に必要な情報が集まり次第、遅滞なく作成しなければなりません。下請負人の情報は、再下請負通知書を下請負人に提出してもらい、情報を集めることになります。ただし、下請負人から再下請負通知書の提出がないことを理由に、台帳の作成を怠ると建設業法違反になります。
※施工体制台帳の様式はこちら
施工体系図とは
施工体制台帳の情報を、よりシンプルにわかりやすくまとめたものが施工体系図です。施工の分担関係が施工体系図1枚で確認ができ、また建設工事の全体像が把握できます。施工体制台帳は現場に備え置くものでしたが、施工体系図は1枚ものなので現場の見やすい場所に掲示することになっています。
※施工体系図の様式はこちら
作成義務が生ずる場合と作成者
施工体制台帳及び施工体系図は、すべての建設工事で作成が必要というわけではありません。作成義務がある工事は限定されています。
(1)公共工事の場合
(2)民間工事のうち下請契約の請負金額が4,000万円以上(建築一式工事の場合は6,000万円)となる場合
公共工事は、下請契約の金額を問わず作成義務があることに注意しなければなりません。
これらの工事に該当する場合、作成義務があるのは発注者から直接建設工事を請け負った元請負人です。元請負人が施工体制台帳及び施工体系図を作成しなければなりません。
施工体制台帳・施工体系図の作成やチェック、また、施工体制台帳に関する研修等のご希望がございましたら、行政書士法人名南経営までお気軽にご連絡ください。