建設業法令遵守ブログ

【建設業法】関連コラム

建設業法第24条の4「検査及び引渡し」解説

大野裕次郎

社員行政書士・東京事務所所長

大野裕次郎

建設業に参入する上場企業の建設業許可取得や大企業のグループ内の建設業許可維持のための顧問などの支援をしている。建設業者のコンプライアンス指導・支援業務を得意としており、建設業者の社内研修や建設業法令遵守のコンサルティングも行っている。

条文の確認

(検査及び引渡し)
第二十四条の四 元請負人は、下請負人からその請け負つた建設工事が完成した旨の通知を受けたときは、当該通知を受けた日から二十日以内で、かつ、できる限り短い期間内に、その完成を確認するための検査を完了しなければならない。
2 元請負人は、前項の検査によつて建設工事の完成を確認した後、下請負人が申し出たときは、直ちに、当該建設工事の目的物の引渡しを受けなければならない。ただし、下請契約において定められた工事完成の時期から二十日を経過した日以前の一定の日に引渡しを受ける旨の特約がされている場合には、この限りでない。

この規定は、元請負人の建設工事の完成の検査と工事目的物の引渡しの受領について定められた規定です。

検査の時期

元請負人は、下請負人から建設工事が完成した旨の通知を受けた日から、20日以内でできる限り短い期間内に工事完成検査を完了しなければなりません。
元請負人が検査を行わなかったり遅れたりして工事目的物の引渡しを受けないとなると、下請負人は下請代金の支払いを受けることが出来ない上に、引渡しまでの工事目的物の保管責任を負わされることとなるため、このような規定が設けられています。

「通知」と「申し出」について

  • 「通知」について
    下請負人から元請負人に対する建設工事が完成した旨の通知は書面である必要はありません。口頭でも認められますが、後日の紛争を避けるために書面による通知が望ましいとされています。
  • 「申し出」について
    下請負人からの引渡しの申し出についても書面である必要はなく、口頭による申し出でも認められます。

<元請負人の検査・引渡し・支払いフロー>


出典:中部地方整備局「建設業法に基づく適正な施工の確保に向けて」

引渡時期の特約をしている場合

下請契約であらかじめ工事完成の時期を定めていながら、工事の完成が予定よりも早くなった場合に、予定よりも早く元請負人に対して工事目的物の引渡しを受けさせることは適当ではありません。その場合には、当初の契約の中で工事完成予定時期から20日以内の日で工事目的物の引渡時期の特約をしている場合は、その特約どおりに引渡しがされれば良いこととなります。