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【建設業法】関連コラム

建設業法第24条の5「特定建設業者の下請代金の支払期日等」解説

寺嶋紫乃

行政書士

寺嶋紫乃

行政書士法人名南経営(愛知県名古屋市)の所属行政書士。建設業者向けの研修や行政の立入検査への対応、建設業者のM&Aに伴う建設業法・建設業許可デューデリジェンスなど、建設業者のコンプライアンス指導・支援業務を得意としている。

条文の確認

(特定建設業者の下請代金の支払期日等)
第二十四条の五 特定建設業者が注文者となつた下請契約(下請契約における請負人が特定建設業者又は資本金額が政令で定める金額以上の法人であるものを除く。以下この条において同じ。)における下請代金の支払期日は、前条第二項の申出の日(同項ただし書の場合にあつては、その一定の日。以下この条において同じ。)から起算して五十日を経過する日以前において、かつ、できる限り短い期間内において定められなければならない。
2 特定建設業者が注文者となつた下請契約において、下請代金の支払期日が定められなかつたときは前条第二項の申出の日が、前項の規定に違反して下請代金の支払期日が定められたときは同条第二項の申出の日から起算して五十日を経過する日が下請代金の支払期日と定められたものとみなす。
3 特定建設業者は、当該特定建設業者が注文者となつた下請契約に係る下請代金の支払につき、当該下請代金の支払期日までに一般の金融機関(預金又は貯金の受入れ及び資金の融通を業とする者をいう。)による割引を受けることが困難であると認められる手形を交付してはならない。
4 特定建設業者は、当該特定建設業者が注文者となつた下請契約に係る下請代金を第一項の規定により定められた支払期日又は第二項の支払期日までに支払わなければならない。当該特定建設業者がその支払をしなかつたときは、当該特定建設業者は、下請負人に対して、前条第二項の申出の日から起算して五十日を経過した日から当該下請代金の支払をする日までの期間について、その日数に応じ、当該未払金額に国土交通省令で定める率を乗じて得た金額を遅延利息として支払わなければならない。

特定建設業者が注文者となった場合の支払期日

建設業法第24条の5は特定建設業者が注文者となった場合の支払期日についての規定です。この規定には注意すべき点がいくつかあります。

まず、「一般建設業者」であればこの規定は対象外となります。特定建設業者に限定されていることに注意が必要です。次に、下請負人が特定建設業者、もしくは、資本金が4,000万円以上の建設業者である場合も、この規定の対象外となります。
つまり、特定建設業者が元請となり、資本金4,000万円未満の一般建設業者が下請として契約した場合の支払期日の規定です。

支払期日は、下請業者から工事目的物の「引渡しの申出があった日から50日以内」です。下請業者からの申出日が起算点となることに注意が必要です。

支払いの方法

法律上、代金の支払いは原則として現金と解されます。しかし建設業界では、手形の支払いも多く、現金と同様に扱われています。
しかし手形のなかには、すぐに手形の割引きができない(現金化できない)というものもあります。そのような手形では期日内に支払いをしたことになりません。そのため、割引が困難な手形は禁止されています。

支払期日を守らなかった場合

支払期日を守らなかった場合(引渡し申出日から50日以降)、支払いをする日まで遅延利息を支払わなければなりません。遅延利息は年14.6%と定められています。
なお、天災等のやむを得ない事情・正当な理由がある場合には、支払いの遅延が生じても遅延利息の支払い義務はありません。

建設業法第24条の3との関連

特定建設業者は、本条の規定だけでなく元請人としての支払期日が規定された建設業法第24条の3も守らなければなりません。
そのため、特定建設業者かつ元請負人となる場合は、下請負人への支払期日が「注文者から出来高払いまたは竣工払いを受けた日から1ヶ月以内」または「引渡し申出日の日から50日以内」のいずれか早い期日で支払うことになります。

●特定建設業者の支払いフロー

(出典:中部地方整備局「建設業法に基づく適正な施工の確保に向けて」)