建設業法令遵守ブログ

【建設業法】関連コラム

建設業法第21条「契約の保証」解説

大野裕次郎

社員行政書士・東京事務所所長

大野裕次郎

建設業に参入する上場企業の建設業許可取得や大企業のグループ内の建設業許可維持のための顧問などの支援をしている。建設業者のコンプライアンス指導・支援業務を得意としており、建設業者の社内研修や建設業法令遵守のコンサルティングも行っている。

条文の確認

(契約の保証)
第二十一条 建設工事の請負契約において請負代金の全部又は一部の前金払をする定がなされたときは、注文者は、建設業者に対して前金払をする前に、保証人を立てることを請求することができる。但し、公共工事の前払金保証事業に関する法律(昭和二十七年法律第百八十四号)第二条第四項に規定する保証事業会社の保証に係る工事又は政令で定める軽微な工事については、この限りでない。
2 前項の請求を受けた建設業者は、左の各号の一に規定する保証人を立てなければならない。
一 建設業者の債務不履行の場合の遅延利息、違約金その他の損害金の支払の保証人
二 建設業者に代つて自らその工事を完成することを保証する他の建設業者
3 建設業者が第一項の規定により保証人を立てることを請求された場合において、これを立てないときは、注文者は、契約の定にかかわらず、前金払をしないことができる。

この条文は、建設工事の請負契約において、前払金の定めをした場合における、契約の保証人に関する規定です。

契約の保証人

建設工事では、着工に際し、注文者が請負人である建設業者に対して、建設工事に必要な資材等を用意できるよう、必要な金額を前払金として支払うことが商慣習となっています。建設業者によって、前払金が持ち逃げされる等のリスクを取り除くため、保証人を立てることを請求できる権利を注文者に認めています。請求を受けた建設業者は次の保証人を立てなければなりません。

① 建設業者の債務不履行の場合の遅延利息、違約金その他の損害金の支払の保証人
② 建設業者に代つて自らその工事を完成することを保証する他の建設業者

保証人を必要としない軽微な建設工事

リスクがないと考えられる次の工事は、保証人を必要としません。

  1. 保証事業会社の保証に係る工事
  2. 政令で定める軽微な建設工事 ※

※「軽微な建設工事」とは?
<建築一式工事の場合>
次の①②のいずれかに該当する工事
①工事1件の請負代金が1,500万円未満の工事
②延べ面積が150㎡未満の木造住宅工事(延べ面積の2分の1以上を居住の用に供するもの)
<建築一式工事以外の工事の場合>
工事1件の請負代金が500万円未満の工事