建設業法令遵守ブログ

【建設業法】関連コラム

入札契約の適正化の取組状況に関する調査結果について

大野裕次郎

社員行政書士・東京事務所所長

大野裕次郎

建設業に参入する上場企業の建設業許可取得や大企業のグループ内の建設業許可維持のための顧問などの支援をしている。建設業者のコンプライアンス指導・支援業務を得意としており、建設業者の社内研修や建設業法令遵守のコンサルティングも行っている。

国土交通省・総務省・財務省では、「公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律」に基づき、毎年度、公共工事の発注者による入札契約の適正化の取組状況を調査していますが、3月4日に、令和4年度における取組状況に関する調査結果が公表されました。公表された調査結果(国土交通省「公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律に基づく入札・契約手続に関する実態調査の結果について」https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001595772.pdf)から、抜粋してお伝えします。

調査対象者

調査対象は、入札契約適正化法の適用対象である以下の各発注者です。

    • 国(省庁等) : 19機関
    • 特殊法人等  : 121法人
    • 地方公共団体 : 47都道府県、20指定都市、1,721市区町村(総計1,928団体)

調査内容

    • 入札契約方式
      一般競争入札・総合評価落札方式の導入
    • 入札契約情報の公表
      情報の公表方法・公表状況
    • ダンピング対策
      低入札価格調査制度・最低制限価格制度の導入、低入札価格調査基準価格等の算定式・公表時期
    • 適正な予定価格の設定
      資材単価の更新、請負代金内訳書における法定福利費の明示、建設発生土の搬出先の明示
    • 適正な工期の設定
      工期設定に当たっての休日の考慮、週休2日工事の実施
    • 施工時期の平準化
      「さ・し・す・せ・そ」の取組
    • 円滑・適正な施工の確保
      設計変更ガイドラインの策定、スライド条項の運用基準の策定

調査結果

    • ダンピング対策
      低入札価格調査基準価格等の算定式については、標準となる中央公契連モデルが令和4年に改定されたところであるが、全都道府県※など各団体において、この最新の中央公契連モデルの採用や当該モデル以上の水準の独自モデルの使用などが進んでいる。※算定式が非公表である団体を除く。

  • (出典:国土交通省「令和4年度 入契調査 (入契法に基づく入札・契約手続に関する実態調査) 概要」https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001595771.pdf)

    • 工期の設定
      工期の設定に当たって休日(週休2日等)を考慮している団体は、特殊法人等・都道府県・指定都市では9割超だが、国では約7割、市区町村では5割未満にとどまる。

  • (出典:国土交通省「令和4年度 入契調査 (入契法に基づく入札・契約手続に関する実態調査) 概要」https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001595771.pdf)

    • 週休2日工事等の実施
      週休2日工事又は週休2日交替制工事を実施している団体は、都道府県・指定都市では全てだが、国では4割未満、特殊法人等・市区町村では2割未満にとどまる。

  • (出典:国土交通省「令和4年度 入契調査 (入契法に基づく入札・契約手続に関する実態調査) 概要」https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001595771.pdf)

    • スライド条項の運用
      単品スライド条項やインフレスライド条項の運用基準を策定している団体は、都道府県・指定都市ではほぼ全て、特殊法人等では約9割だが、国では約6割、市区町村では約3割にとどまる。

  • (出典:国土交通省「令和4年度 入契調査 (入契法に基づく入札・契約手続に関する実態調査) 概要」https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001595771.pdf)