建設業法令遵守ブログ

【建設業法】関連コラム

【建設業許可事務ガイドライン】「専任技術者」について

寺嶋紫乃

行政書士

寺嶋紫乃

行政書士法人名南経営(愛知県名古屋市)の所属行政書士。建設業者向けの研修や行政の立入検査への対応、建設業者のM&Aに伴う建設業法・建設業許可デューデリジェンスなど、建設業者のコンプライアンス指導・支援業務を得意としている。

今回は、建設業許可の要件の一つ「専任技術者」について取り上げます。「専任」として認められる勤務状況等については、再度確認をしておきましょう。

1.「専任」とは

「専任」とは、その営業所に常勤して専らその職務に従事することをいいます。現在では、テレワーク勤務であっても、専任性が認められています。
会社の社員の場合には、勤務状況、給与の支払状況、その者に対する人事権の状況等によって専任と認められるかどうか判断します。これらの判断基準にで専任性が認められれば、専任技術者は出向社員であっても問題ありません。
※これは現場に配置する技術者との違いです。

ただし、以下に該当する者は、原則として専任とは判断されないのでご注意ください。
① 住所又はテレワークを行う場所の所在地が勤務を要する営業所の所在地から著しく遠距離にあり、常識上通勤不可能な者
② 他の営業所(他の建設業者の営業所を含む。)において専任を要する者
③ 建築士事務所を管理する建築士、専任の宅地建物取引士等他の法令により特定の事務所等において専任を要することとされている者(建設業において専任を要する営業所が他の法令により専任を要する事務所等と兼ねている場合においてその事務所等において専任を要する者を除く。)
④ 他に個人営業を行っている者、他の法人の常勤役員である者等他の営業等について専任に近い状態にあると認められる者

2.実務経験に関する注意点

専任技術者になれる者は、一定の資格保有者や実務経験者です。実務経験については、技術者それぞれ経験内容が異なるため、「建設業の実務経験」として認められるものか判断できるようにしておかなければなりません。

「実務の経験」とは、建設工事の施工に関する技術上のすべての職務経験をいいます。例えば、建設工事の発注に当たって設計技術者として設計に従事した経験、現場監督技術者として監督に従事した経験、土工及びその見習いに従事した経験、これらの経験はすべて実務経験として認められます。
ただし、単に建設工事の雑務のみ行っていた経験年数は含まれません。

実務経験の期間は、具体的に建設工事に携わった経験期間を積み上げ合計することが可能です。
ただし、経験期間が2以上業種で重複している場合は原則として二重に計算しませんが、解体工事の実務経験だけは取り扱いが少し異なります。平成28年5月31日までにとび・土工工事業許可で請け負った解体工事に係る実務経験の期間については、平成28年6月1日以降、とび・土工工事業及び解体工事業双方の実務経験の期間として二重に計算ができます。

業種によっては、実務経験を積むために一定の条件をクリアする必要があります。
電気工事及び消防施設工事には、電気工事士免状、消防設備士免状等の交付を受けた者等でなければ直接従事できない工事があります。そのような工事に直接従事した経験については、電気工事士免状、消防設備士免状等の交付を受けた者でなければ実務経験の期間として認められません。
建設リサイクル法施行後の解体工事に係る経験については、とび・土工工事業許可又は建設リサイクル法に基づく解体工事業の登録を受けて請け負った工事しか経験期間として認められません。

3.専任技術者になれる者

一般建設業許可と特定建設業許可の専任技術者は、要件が異なりますので以下の表で再確認しておきましょう。

引用:中部地方整備局「建設業許可申請の手引き(令和3年1月更新)https://www.cbr.mlit.go.jp/kensei/info/license/pdf/tebiki20210101.pdf」