建設業法令遵守ブログ

【建設業法】関連コラム

国土交通省の立入検査の件数は?

大野裕次郎

社員行政書士・東京事務所所長

大野裕次郎

建設業に参入する上場企業の建設業許可取得や大企業のグループ内の建設業許可維持のための顧問などの支援をしている。建設業者のコンプライアンス指導・支援業務を得意としており、建設業者の社内研修や建設業法令遵守のコンサルティングも行っている。

令和3年6月7日に、国土交通省より「令和2年度「建設業法令遵守推進本部」の活動結果及び令和3年度の活動方針」が公表されましたので、中身を見ていきたいと思います。

令和2年度の立入検査の件数は?

最も気になる立入検査等の実施件数ですが、令和2年度は416件でした。
ちなみに令和元年度は598件でした。新型コロナウイルスの感染拡大防止の観点から、立入検査等の実施件数が減らされたのではないかと思います。

監督処分・勧告の実施件数は次のとおりです。
出典:国土交通省「令和2年度「建設業法令遵守推進本部」の活動結果及び令和3年度の活動方針」

令和3年度の活動方針は?

活動方針のうち、特に気になるのは「立入検査及び報告徴取の実施」についてです。立入検査等の「検査対象」と「重点事項」をチェックします。

検査対象

次のような建設企業を中心に立入検査等を実施すると記載されています。

      • 各種相談窓口に通報が寄せられた建設企業
      • 営業所の実態・技術者に必要な実務経験等に疑義のある建設企業
      • 新規に建設業許可を取得した建設企業
      • 過去に監督処分又は行政指導を受けた建設企業
      • 下請取引等実態調査において未回答又は不適正回答の多い建設企業や不正行為等を繰り返し行っているおそれのある建設企業
重点事項

重点的に以下の事項について検査されることになります。

      1. 技能労働者への適切な水準の賃金支払い
      2. 著しく短い工期の禁止
      3. 下請代金の支払手段
      4. 偽装一人親方対策
      5. 建設業を支える担い手の確保・育成

また、【その他】として、(1)外国人建設就労者受入事業又は特定技能制度について、制度等の適切な運営に向け必要な対応をとることと、(2)「建設業における新型コロナウイルス感染予防対策ガイドライン」の周知に努め、本ガイドラインに沿った対応を求めること、が挙げられています。

令和3年度の建設業取引適正化推進期間はいつ?

毎年 11 月が「建設業取引適正化推進月間」とされ、建設業の法令遵守に向けた普及・啓発がされていましたが、令和2年度は、新型コロナウイルス感染症の拡大防止を踏まえて、10月から 12月の3ヶ月間を「建設業取引適正化推進期間」として実施されました。 令和3年度も昨年に引き続き、10月から12月を「建設業取引適正化推進期間」として実施されるようです。立入検査等の実施もこの期間に集中することになると思いますので、十分な対策が必要です。

»「令和2年度「建設業法令遵守推進本部」の活動結果及び令和3年度の活動方針」はこちらから

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