建設業法令遵守ブログ

【建設業法】用語解説

【建設業法】営業所技術者等の役割とは?専任技術者との関係や資格要件をわかりやすく解説

大野裕次郎

社員行政書士・東京事務所所長

大野裕次郎

建設業に参入する上場企業の建設業許可取得や大企業のグループ内の建設業許可維持のための顧問などの支援をしている。建設業者のコンプライアンス指導・支援業務を得意としており、建設業者の社内研修や建設業法令遵守のコンサルティングも行っている。

建設業法に基づいて建設業許可を取得・維持する際には、営業所ごとに技術者を設置することが求められています。営業所技術者は、適切な技術力を営業所単位で確保するため、法令上重要な役割を担っています。この記事では、営業所技術者の役割や資格要件、主任技術者等との違いについて、国土交通省のガイドラインと最新法令に即して解説いたします。

営業所技術者等とは?

営業所技術者等とは、建設業法に定められた営業所ごとの技術者であり、営業所で扱う建設業許可業種の技術力を確保するための存在です。営業所技術者は見積もりや契約時の技術的なサポート、発注者への説明など、営業所単位で幅広い役割を果たします。

「営業所技術者等」と「専任技術者(専技)」は同じ?

「営業所技術者等」と「専任技術者」は、どちらも建設業許可の要件で、営業所に設置される技術者のことで、、全く同じものを意味しています。

これは、令和6年12月13日の改正建設業法の施行によって、「専任技術者」から「営業所技術者」・「特定営業所技術者」(まとめて「営業所技術者等」)に名称が変わったことが理由で、現在は「専任技術者」とは呼ばず、「営業所技術者等」と呼ばれています。

なお、「営業所技術者」は一般建設業許可の営業所に設置される技術者を指し、「特定営業所技術者」は特定建設業許可の営業所に設置される技術者を指しています。

なぜ営業所ごとに技術者の設置が求められるのか?

営業技術者等の設置が求められている理由は、営業所単位で建設業許可業種ごとの技術力を確保し、適正な建設工事の受注や契約、見積もりを行うためです。営業所技術者等の存在が、営業所での建設業務の品質とコンプライアンスを担保します。

営業所技術者等の役割

営業所技術者等は、営業所で建設業許可業種ごとの技術力を維持し、工事の適正な受注・契約・見積もりをサポートします。また、現場の技術者に対して技術的な指導や監督を行うことも重要な役割です。

役割1. 請負契約・見積もり時の技術的なサポート

営業所技術者等は、建設工事の見積もりや入札、請負契約の締結時に技術的なアドバイスを行い、適正な契約が締結されるようサポートします。

役割2. 注文者(発注者)への技術的な説明

営業所技術者等は、注文者(発注者)に対して工法や施工計画などの技術的な説明を行い、信頼性の高い対応を心掛けます。

役割3. 現場に出る技術者(主任技術者等)への指導監督

営業所技術者等は、現場に出る技術者(主任技術者や監理技術者)に対して、施工が適正に行われるよう指導・監督を行います。

【重要】現場の「主任技術者・監理技術者」との役割の違い

営業所技術者等と現場の主任技術者・監理技術者は、役割や勤務場所が異なります。

勤務場所の違い

営業所技術者等は営業所に常勤し、営業所単位での技術力維持を担います。主任技術者や監理技術者は工事現場に勤務し、現場施工の管理を担います。

兼任は可能?

営業所技術者等が現場の主任技術者・監理技術者を兼務することは、原則として認められていません。しかしながら、次のケースでは例外的に兼務が認められています。
①営業所と工事現場が近接している等の一定の要件に合致する場合
②情報通信機器を活用する等の一定の要件に合致する場合

①営業所と工事現場が近接している等の一定の要件に合致する場合

以下の全ての要件を満たすことが必要です。

  • 当該営業所において請負契約が締結された工事であること
  • ⼯事現場の職務に従事しながら実質的に営業所の職務にも従事しうる程度に工事現場と営業所が近接していること
  • 当該営業所との間で常時連絡をとりうる体制にあること
  • 営業所技術者等が所属建設業者と直接的かつ恒常的な雇用関係にあること
②情報通信機器を活用する等の一定の要件に合致する場合

以下の全ての要件を満たすことが必要です。

  • ⼯事契約
    当該営業所において請負契約が締結された工事であること
  • 請負⾦額
    1億円(建築⼀式工事の場合は 2億円)未満
  • 兼任現場数
    1工事現場
  • 営業所と⼯事現場の距離
    1日の勤務時間内に巡回可能かつ工事現場と営業所との間の移動時間が概ね2時間以内
  • 下請次数
    3次まで
  • 連絡員の配置
    監理技術者等との連絡その他必要な措置を講ずるための者の配置(土⽊一式⼯事又は建築一式⼯事の場合は、当該建設⼯事の種類に関する実務経験を1年以上有する者)
  • 施⼯体制を確認できる情報通信技術の措置
  • 人員の配置を⽰す計画書の作成、保存等
  • 現場状況を確認するための情報通信機器の設置
  • 営業所技術者等が所属建設業者と直接的かつ恒常的な雇用関係にあること

出典:中部地方整備局「建設業法に基づく適正な施工の確保に向けて」

営業所技術者等の資格要件

営業所技術者等は、営業所技術者の役割を果たすため、一定の資格や経験が必要です。

一般建設業許可の営業所技術者の場合

  • 指定学科を修め、かつ高卒後5年以上・大卒後3年以上の実務経験
  • 10年以上の実務経験
  • 国家資格(建築士等)

特定建設業許可の特定営業所技術者の場合

  • 国家資格
  • 指導監督的実務経験(発注者から直接請け負い、4,500万円以上の工事で2年以上指導監督した経験)
  • 大臣特別認定者(建設省告示第128号対象者)

※「指導監督的実務経験」とは、設計・施工全般にわたり主任技術者や現場監督者として技術面の総合指導監督をした経験をいいます。

役割を果たすための「専任」のルール

営業所技術者等は、営業所に常勤して専任で職務に従事する必要があります。住所と営業所所在地が著しく離れている場合や、他法令で専任が求められる資格と兼任する場合は、原則専任とは認められません。

専任とは

専任とは、営業所に常勤し、もっぱらその職務に従事する状態を指します。通常の勤務時間中は営業所で勤務できることが必要です。次に該当する者は専任とはいえません。

  • 住所又はテレワークを行う場所の所在地が勤務を要する営業所の所在地から著しく遠距離にあり、常識上通勤不可能な者
  • 他の営業所(他の建設業者の営業所を含む。)において専任を要する者

他の資格(宅建士など)や他社の役員との兼任に関する注意点

営業所技術者等が宅建士や管理建築士など他の専任資格者と兼任する場合、専任要件を満たさないことがありますので、注意が必要です。次に該当する者は専任とはいえません。

  • 建築士事務所を管理する建築士や専任の宅地建物取引士等、他の法令により特定の事務所等において専任を要することとされている者(建設業において専任を要する営業所が他の法令により専任を要する事務所等と兼ねている場合において、その事務所等において専任を要する者を除く。)
  • 他に個人営業を行っている者や他の法人の常勤役員である者等、他の営業等について専任に近い状態にあると認められる者

まとめ

営業所技術者等は、建設業法や国土交通省のガイドラインに基づき営業所ごとに設置が求められる技術者です。営業所単位で技術力を確保し、契約や見積もり時の技術的サポート、発注者への説明、現場技術者への指導監督など多岐にわたる役割を担います。

資格要件は一般建設業許可と特定建設業許可で異なり、専任で職務に従事する必要があります。法令遵守と適正な営業所運営のため、営業所技術者の設置と役割を正しく理解し、制度に則した対応を心掛けていただきたいと思います。

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