作業員名簿の作成は義務?施工体制台帳との関係
社員行政書士・東京事務所所長
大野裕次郎
建設業に参入する上場企業の建設業許可取得や大企業のグループ内の建設業許可維持のための顧問などの支援をしている。建設業者のコンプライアンス指導・支援業務を得意としており、建設業者の社内研修や建設業法令遵守のコンサルティングも行っている。
工事現場では、作業員名簿を作成するケースがあります。現場に誰が従事しているかを把握するための重要な資料ですが、これは建設業法で義務付けられている書類なのでしょうか?本記事では、作業員名簿の法的根拠や施工体制台帳との関係について解説します。
1.作業員名簿とは
作業員名簿とは、建設現場に従事する作業員の氏名、所属、職種、資格などを一覧にした書類です。現場での安全管理、労務管理、緊急時の対応などに活用される重要な資料であり、元請業者が現場の体制を把握するために、関係請負人によって作成されます。特に公共工事や大規模工事では、作業員の情報を正確に管理することが求められ、名簿の整備が実務上不可欠となっています。
2.作業員名簿の根拠法令、施工体制台帳との関係
実は、作業員名簿の作成自体を直接義務付ける規定は、建設業法には存在しません。
しかし、建設業法施行規則第14条の2において、施工体制台帳の記載事項の一部として、建設工事に従事する者に関する事項が定められており、結果的に作業員名簿の作成が求められる形となっています。
■建設業法施行規則第14条の2
(施工体制台帳の記載事項等)
第十四条の二 法第二十四条の八第一項の国土交通省令で定める事項は、次のとおりとする。
(中略)
二 作成建設業者が請け負つた建設工事に関する次に掲げる事項
(中略)
チ 建設工事に従事する者に関する次に掲げる事項(建設工事に従事する者が希望しない場合においては、(6)に掲げるものを除く。)
(1) 氏名、生年月日及び年齢
(2) 職種
(3) 健康保険法又は国民健康保険法(昭和三十三年法律第百九十二号)による医療保険、国民年金法(昭和三十四年法律第百四十一号)又は厚生年金保険法による年金及び雇用保険法による雇用保険(第四号チ(3)において「社会保険」という。)の加入等の状況
(4) 中小企業退職金共済法(昭和三十四年法律第百六十号)第二条第七項に規定する被共済者に該当する者(第四号チ(4)において単に「被共済者」という。)であるか否かの別
(5) 安全衛生に関する教育を受けているときは、その内容
(6) 建設工事に係る知識及び技術又は技能に関する資格
施工体制台帳は、建設業法第24条の7に基づき、元請業者が一定規模以上の工事において作成・保存することが義務付けられている書類です。実務上は、作業員名簿は施工体制台帳の補足資料または添付書類として作成されています。
3.作業員名簿の記載事項、例
建設業法施行規則で求められている記載事項は以下のものです。
(1)氏名、生年月日及び年齢
(2)職種
(3)健康保険法等の加入状況
(4)中小企業退職金共済法に規定する被共済者であるか否かの別
(5)安全衛生に関する教育を受けているときは、その内容
(6)建設工事に係る知識及び技術又は技能に関する資格
しかしながら、一般的には、上記の項目に追加して、災害発生時の緊急連絡先や作業員の健康状態、建設業退職金共済制度の被共済者であるか否かの別、教育・資格・免許等の情報、入場年月日等の事項が記載されることが一般的です。コンプライアンス面から作成することはもちろんのことですが、これらの情報を一覧化することで、現場での人員配置や安全管理が効率的に行えるようになるため、非常に重要な書類です。
■作業員名簿の例

出典:国土交通省「作業員名簿(作成例)」
近年では建設キャリアアップシステム(CCUS)が普及してきていますが、CCUSを活用している建設業者は、CCUSにおいて作業員名簿を作成することが可能です。その他のクラウド型の労務安全書類作成システムなどでも作業員名簿が作成です。
4.まとめ
- 作業員名簿とは、現場での安全管理、労務管理、緊急時の対応などに活用される重要な資料である
- 作業員名簿の作成自体を直接義務付ける規定は、建設業法には存在しない
- 施工体制台帳の記載事項の一部として、実質的に作業員名簿の作成が求められている
- コンプライアンス面だけでなく、現場での人員配置や安全管理・労務管理の観点からも作業員名簿の整備は非常に重要
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