建設業法第20条「建設工事の見積り等」解説

行政書士
寺嶋紫乃
行政書士法人名南経営(愛知県名古屋市)の所属行政書士。建設業者向けの研修や行政の立入検査への対応、建設業者のM&Aに伴う建設業法・建設業許可デューデリジェンスなど、建設業者のコンプライアンス指導・支援業務を得意としている。
条文の確認
まずは、建設工事の見積りに関する建設業法の条文を確認しましょう。
(建設工事の見積り等)
第二十条 建設業者は、建設工事の請負契約を締結するに際して、工事内容に応じ、工事の種別ごとの材料費、労務費その他の経費の内訳並びに工事の工程ごとの作業及びその準備に必要な日数を明らかにして、建設工事の見積りを行うよう努めなければならない。
2 建設業者は、建設工事の注文者から請求があつたときは、請負契約が成立するまでの間に、建設工事の見積書を交付しなければならない。
3 建設業者は、前項の規定による見積書の交付に代えて、政令で定めるところにより、建設工事の注文者の承諾を得て、当該見積書に記載すべき事項を電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法であつて国土交通省令で定めるものにより提供することができる。この場合において、当該建設業者は、当該見積書を交付したものとみなす。
4 建設工事の注文者は、請負契約の方法が随意契約による場合にあつては契約を締結するまでに、入札の方法により競争に付する場合にあつては入札を行うまでに、第十九条第一項第一号及び第三号から第十六号までに掲げる事項について、できる限り具体的な内容を提示し、かつ、当該提示から当該契約の締結又は入札までに、建設業者が当該建設工事の見積りをするために必要な政令で定める一定の期間を設けなければならない。
適正な見積書作成のためのポイント
- 工事費の内訳を明らかにします。
そうすることにより、適正な請負価格の設定ができ、「注文者の保護」に繋がります。さらには、元請業者から下請業者へ発注を行う際にも適正な価格の設定ができるようになり、「下請業者の保護」にも繋がります。 - 交付は、請負契約が成立するまでに行わなければなりません。
交付する見積書は、工事費の内訳を明らかにした「書面」で行います。 - 元請業者は下請業者に見積りを依頼する際、一定の期間を設けなければなりません。
期間は工事の予定価格により異なります。
①500万円未満・・・中1日以上
②500万円~5,000万円未満・・・中10日以上
③5,000万円以上・・・中15日以上
見積書に記載する事項
見積書の記載項目については、建設業法に規定はありません。
見積書作成の参考になるものとしては以下のものがあり、これらをご参考に見積書を作成いただくことをお勧めします。
- 各建設業団体の標準見積書
https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/totikensangyo_const_tk2_000082.html - 社会保険の加入に関する下請指導ガイドライン
https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/totikensangyo_const_fr2_000008.html - 公共建築工事見積標準書式
https://www.mlit.go.jp/gobuild/kijun_touitukijyun_s_mitumori_syosiki.htm
見積書の作成に関してお困りのことがあれば、行政書士法人名南経営までお気軽にご相談ください。
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